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物があふれかえる実家、片付けられない老親をどうする?

 もうひとつ大切なのが、「プライドを傷つけない」ということらしい。実の親子だとつい厳しい口調で叱責してしまう、なんてこともあるが、一歩間違えば、親子関係の崩壊という事態もあり得る。ある深刻だったケースを紹介しよう。

 10年前に結婚し家を出た40歳のある女性には、父と一緒に暮らす70歳の母がいる。しかし母は5年ほどまえからモノをためこみ、必要・不要の判断すら放棄した様子だったという。何度かやんわりと伝えたものの、さらにモノは増えるばかり。そんな時に東日本大震災が起こり、両親の命の危険性を感じ、メールで思いを伝えたという。それは優しい言葉でのものだったというが、母はそうは受け取らなかった。「口の悪い娘に一方的に責められた」と感じたのだ。以来、母とは音信不通に……。

 さらに、娘からの電話に父が「よそに行った人間が、人の家のことをうるさくいうな」と言ったことも、母親にとっては「本当にうれしかった」と思うほど関係がこじれてしまう。──ここまで関係がこじれた場合、親子だけではどうにもならない。こうした場合、第三者のアドバイスが効率的だという。

「『テレビでこう言ってたよ』『本に書いてあったけど、こうすると便利なんだって』と第三者の意見として伝えたり、私たちのような片づけサービスを部分的利用してきっかけにするのも一案です」(同書より)

 まあ、本書は「アート引っ越しセンター監修」なので、その辺は割り引いても(笑)、あまりに酷いケースは業者の手を借りるのも致し方ない。

 感情的、高圧的にならず、プライドを傷つけることなく、ひたすら老親の話に耳を傾け、やる気にさせ、そして最後まで付き合う。まさに子どもにとって老親の“片づけ問題”は忍耐、忍耐、ひたすら忍耐なのかもしれない。
(林グンマ)

最終更新:2014.08.21 08:08

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