これは「寝た子を起こすな」理論だが、セックスという行為を教えないまま、受精やら妊娠に論理ばかりが飛躍する。
「性行為とは、膣性交、肛門性交。口腔性交…これらすべてを指す言葉であるにもかかわらず、何をどうすることが性行為となり、感染症のリスクを伴う行為なのかは、教科書からはまったくわからないのです」
かつて小泉純一郎元首相も国会でこう発言している。
「われわれの年代は性教育などなかった、でも自然にひととおりのことを知るようになった」
しかし“自然”が指し示すものは現代において商業的ポルノ、写真や動画が大半だ。よって、「特に、男性を性的に興奮させることを目的に作り込まれたものなので、性について妊娠や性感染症といった現実的な問題を伝えるものではありません」。その結果、セックスがエイズや性感染症、妊娠などについて結びつかず、「そういえば(学校で)学んだことがある」といった程度の認識しか持ち合わせない。
そのため少女たちは知識もないままセックスという“実体験”を経験し、また避妊についても“口コミ”が頼りらしい。
「いつも外出ししてるけど、妊娠したことないよ。大丈夫!」
「中出しされても(膣内を)コーラで洗うと妊娠しないって先輩が言ってたから…」
そんな友人の言葉を信じたり、コンドームをすれば絶対大丈夫、生理中には妊娠しない、いや自分だけは妊娠しない。そんな間違った知識を勝手に思いこんでいる傾向が強いという。
そんなあやふやな知識しかもたない少女たちの中には「ゴムが嫌い」「ナマがいい」という声も存在するという。
「ナマじゃないと逆にやだ。だってゴムを着けると、擦れてアソコが痛くなって、やりたくなくなる。だからナマがいい。着けてると、逆に私から『外してよ』って言っちゃいますね」(19歳)
これまでコンドームを着けたがらないのは男性側という認識が強かったが、自ら「ナマH」にこだわる少女もいる。その結果の妊娠というリスクは少女側にあるのにもかかわらず。その理由について著者はこう推測する。
「若い男性は性行為が未熟なことも多く。女性側もなかなかリラックスして臨めない。ゆえに人によっては『痛い』という感覚があっても不思議ではありません」
これでは妊娠したり、性感染症に罹る少女が出てくるのも当然だろう。中でも若年層に蔓延しているのが「クラミジア」だ。日本性教育協会が調査をしたところ、女性高校生の13.1%が、さらに性体験の人数が5人以上の場合は3人に1人がクラミジアに感染しているという衝撃的結果も出ている。