『少女はセックスをどこで学ぶのか』(徳間書店)
連れ去り、監禁、レイプ、ロリコン、売り、ワリキリ、リベンジポルノ──。少女の“性”を取り巻く環境はめまぐるしく変わり、また多様化している。事件に巻き込まれたり、望まない妊娠や性病──そのためセックスにまつわる数多くの問題が少女自身に降りかかっている。思春期の少女たちにとって“性”は大人への第一歩であり好奇心の対象であるが、しかしその裏腹に多くの危険が潜んでいる。
そんな現代の少女たちはどこでセックスを知り、そして学ぶのか。
結論から言えばどうやら少女たちはセックスを「知らない」らしい。こう書くと「セックスしている少女はたくさんいる」と思われるかもしれないが、セックスという“行為”と、性の“知識”は別だという視点が必要だろう。
産婦人科医師でありテレビコメンテーターとして活躍する宋美玄の『少女はセックスをどこで学ぶのか』(徳間書店)を読むと、セックスを体験していても性の“知識”は間違えだらけでしかも乏しい。その原因となっているのが、少女たちが最初にセックスを知る場所だ。
「いちばん最初にAVを見たのは中学のトイレでした。友達が4人くらいで集まって、一人の子が動画で見始めて」
「小学校の4年生か5年生のときかな。イトコの家に泊まりに行って、テレビの音で起きちゃったんですね。薄目で『何のテレビ見てるんだろう』って見たら、そのHな動画で」
「年がひと回り離れたお兄ちゃんがいるんですけど、思春期のときに、エロ本とかAVとかが部屋にいっぱいあって」
もちろん人により、そして環境によって様々だが、小学校高学年か、中学くらいまでには“セックス”という行為をぼんやりと知っていたことが伺える。 行為としてのセックスではなく避妊や性病などの性情報も圧倒的に「友人や先輩から」という口コミが半数以上だという。
もちろん学校でも性教育は行われているが、そこでセックスは学べない。なぜなら日本の性教育は「『セックスについては教えてはいけない』というルールが明確に存在」するからだ。例えば中学生に関しての性教育は以下のようなものだという。
「受精や妊娠、そして異性に関することについて適切に行動する事は教えましょう。ただし、<妊娠の経過=セックス>は教えてはいけません」