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子どもの6人に1人が貧困! 不登校、引きこもりの要因にも

『チャイルド・プア〜社会を蝕む子どもの貧困〜』(ティー・オーエンタテインメント)

 厚生労働省が15日に発表した「国民基礎調査」よると、子どもの貧困率が過去最悪の16.3%であることがわかった。子どもの6人に1人が貧困状態という恐るべき結果である。
 母子家庭、非正規雇用、ガールズプア――貧困が社会問題となって久しいが、『チャイルド・プア〜社会を蝕む子どもの貧困〜』(新井直之/ティー・オーエンタテインメント)によれば、貧困状態に置かれた子どもたちの実態は想像以上に深刻だ。同書から具体的なケースをいくつか紹介したい。

 ある少年は両親と一緒に1年半以上車上などで全国を転々とする生活を送ったことがあった。父親の職場が倒産し失職、さらに騙され借金を背負わされたため、債権者から逃れるために各地を転々とせざるを得なかったのだ。「食事は1日1食、カップラーメンだけでしのぐ日も珍しくはなかった」という。この間少年は学校に行っていないし、生活が落ち着いた後も不登校気味だ。

 また、離婚した40代のシングルマザーの下で暮らしている小学生の子どもは学校でいじめにあっていた。母親はほとんど働けず、収入は月4万円のパート代のみ。そのため生活保護を受給しているが、食べ物に困る日も珍しくないという。

 だが大きな問題は、子どもの貧困は、単に経済的、物理的問題だけにとどまらないことだ。母親が精神疾患で自傷行為を繰り返す。母親が外国籍で日本語が話せない。……そんな環境下で育つ子どもたちは、学校で差別やいじめを受け続けることも多い。「経済的な貧困は、子どもの心を蝕み『心の貧困』を生み出し」、いつまでも自立できない、他者とのコミュニケーションが取れないなど、子どもたちに様々な影響を及ぼしていく。

 あるひきこもり少女のケースを紹介したい。4歳のときに両親が離婚し母親に育てられた少女は、母親が大好きだった。しかし母親は「離婚のストレスからか、うつ病を患うようになり、働くことも難しくなっていった」。そのため生活保護を受給されながらの貧しい生活が続いたが、中学2年の時に母親は自殺をしてしまう。

「お前が殺したんだと言われているように感じました。私が母を追い込んでしまったんじゃないか」

自責の念にかられた少女は、祖父母に引き取られ中学を転校したが、「勉強は頭に入らず、友達付き合いもなく、放課後はひとり自宅にひきこもるようになった」。高校や専門学校にも通おうとしたが、すぐに辞めてしまい自宅にひきこもる日々……。

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