1935年(昭和10年)に掲載されたコンドームの広告も興味深い。夫の友人から贈られたコンドームを手に「どんな意味ですの」と無邪気に首をかしげる妻と、「僕だけ解ればいいよ」と微笑む夫。一見ほほえましい光景だが、当時の女性が避妊の知識を与えられなかったことがよくわかる一コマだ。「女は処女で結婚すべき」「貞操は命懸けで守るべきもの」という考えが根強かったこの時代、女性が避妊の知識を得るなど言語道断だったのだろう。
これらのトピックス以外にも、本書では職業婦人としての生き方や育児スタイルの変化、婦人参政権獲得までの道のりなども紹介。「くらし家庭面」の100年の歩みは、か弱く従順だった「女」がいかにして「人間」になったのかという進化の過程ともいえるだろう。
ちなみに、冒頭に挙げた「18歳女子」に対する歌人の窪田空穂(男性)の回答が素晴らしいので、最後に紹介しておこう。W杯で盛り上がる渋谷で痴漢が続出した件について、「そんなときに渋谷に行く女が悪い」と言っているバカ男にはぜひ読んでほしい。
「婦人が自意識が足りないためとか、または勇気が足りないためとかいうのではなく、男子が暴力をもって、婦人を蹂躙していることがわかります。(中略)記者は良縁があったら結婚される事を希望します。良縁というべき縁であったら、必ずその事は許されるべき事だろうと思います」
(阿部花恵)
最終更新:2018.10.18 03:18