また、「スイーツ黒澤~シュークリームと黒澤君~」(作・Ishiko)では、嫉妬した彼氏からの壁ドンが見られる。ヒロインのむつみと黒澤は付き合いたてのカップルなのだが、むつみが調理実習のシュークリームをクラスメイトの男子にあげたのを見て、黒澤はヤキモチを妬く。そして、「なんで純平にシュークリームあげたの?」と、ここで壁ドン。
しかも、逃げる彼女を抱えあげ、壁際の棚に座らせてからの壁ドン! これなら、身長差も関係ない。右手で壁ドンし、左手を腰に添えることで彼女が倒れないように支える優しさを見せながら、より逃げられない雰囲気も演出されるので、ドキドキ度も増量。自分の表情も隠せず気恥ずかしいが、「(ほかの女子からのシュークリームを)むつみがくれると思って断ってたんだけど」という相手の拗ねた表情も至近距離で見ることができる。セリフと表情の威力を最大限に引き出すためにも、壁ドンは最高のシチュエーションなのだ。
そして、ここまでは男子から壁ドンされるシチュエーションだったが、逆に女子から壁ドンしてみるのもありだ。「青春乙女番長!~鬼ごっこDE壁ドン~」(作・清野静流)では、ヒロインの女の子が好きな男の子と鬼ごっこをしているときに、両手で壁ドンして追いつめる。かわいい男の子が瞳をうるませ、壁際に縮こまっている姿を見たら、壁ドンしたくなる男子の気持ちも理解できるかもしれない。
また、たとえかわいい男の子相手でなくても、「L DK~壁ぎわのファンタジスタ~」(作・渡辺あゆ)で登場するカップルのように、壁ドンしてきた女性をそのままギュッと抱き寄せる「壁ギュ」に移行する可能性もある。自分が攻めていたはずなのに、結局いつの間にか立場が逆転してしまうというこの流れには、女子なら抗えないはずだ。
ほかにも、意地悪で通せんぼするような壁ドンに、身動きをとれなくさせてお仕置きするための壁ドンなどが本書には登場するが、少女マンガにはまだまだたくさんの壁ドンがあふれている。草食男子が増える一方、強引な男子への憧れがより高まっているのかもしれない。
とはいえ、「一度はされたい」といっても、いわゆる“ただしイケメンに限る”というやつなので、リアルで実践するのはご注意を!
(田口いなす)
最終更新:2018.10.18 04:38