安倍政権で復活した経団連による“政治献金の斡旋” 「政策評価」をもとに会員企業に献金促し
大口献金をしてくれる大企業を優遇し、税金を使って政策でお返しする自民党──。国民生活は蚊帳の外、自民党と大企業だけが潤う歪なシステムの元凶にあるのは、経団連の存在だ。
経団連は毎年「主要政党の政策評価2022」(政策評価)なるものを公表している。これはおもに政権・与党の政策が財界の要望に沿っているかどうかを検証するもので、経団連の会員企業・団体が献金をおこなう際の参考資料となってきた。つまり、政策をカネで買おうというのだ。
たとえば、2022年の「政策評価」によると、原発再稼働や次世代革新炉の開発・建設を含む「グリーントランスフォーメーション(GX)の加速」やマイナンバー制度の利活用の推進を含む「デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進」などを評価する項目として挙げている。まさしく、自民党への大口献金企業の事業内容と重なるものだ。
自民党と大企業の癒着を支える“諸悪の根源”、事実上の経団連による政治献金の斡旋ともいえる「政策評価」。しかも、この「政策評価」の影響度が増し、自民党と大企業の癒着がさらに強固なものになったのは、第二次安倍政権でのことだ。
そもそも経団連は、1950年代半ばから自民党への政治献金の窓口となり、企業や団体に献金額を割り振ってきた。だが、リクルート事件やゼネコン汚職などの金権政治批判を受け、1993年に非自民の細川連立政権が誕生すると政治献金の斡旋を中止。これが復活したのは、小泉純一郎政権時の2004年のことだった。政界への影響力を再び取り戻すべく、トヨタの奥田碩氏が会長を務めていた経団連は「政策評価」をもとに会員企業に献金を促すようになったのだ。
しかし、2009年に民主党政権が発足すると、民主党が企業・団体献金の禁止を公約に掲げていたことから、経団連は「政策評価」を中止し、献金の斡旋をやめた。
ところが、2012年末に安倍晋三氏が首相に返り咲くと、経団連は2013年に「政策評価」を復活させ、2014年には経団連は5年ぶりに会員企業への政治献金の呼びかけを再開させた。その結果、献金額は再び増加。実際、下野時代の2011年の自民党への企業・団体献金は11億5500万円だったが、政権に復活した2013年には19億5400万円、2014年には22億1000万円へと倍増。その後も献金額は増え、安倍氏が首相を辞任、菅義偉氏が引き継いだ2021年には、コロナ禍であったにもかかわらず24億3000万円もの献金を集めている。