安倍・菅以上に悪質!「被爆地選出の初の首相」とアピールするくせに、被爆者の思いを蔑ろにする岸田首相
ご存知のとおり、安倍首相の広島・長崎スピーチは、前年とほとんど同じ中身だったり、広島と長崎でほぼ同じスピーチを繰り返したため、例年のように「コピペ」批判が巻き起こってきた。さらに、菅義偉首相にいたっては広島でのスピーチで「核兵器のない世界の実現」という肝心の部分で読み飛ばしをし、挙げ句、「原稿の一部がのりで貼り付いていた」などと言い訳。のちに情報公開請求によって原本にのりが付着したような形跡がないことが確認されている(ちなみに菅首相も長崎のスピーチにおいて、安倍首相の「乗り越えられない試練はない」というフレーズを使い回している)。
じつは、岸田首相はこうした批判を意識し、昨年のスピーチでは〈自らの言葉で伝えることにこだわり、自らペンを手に推敲を重ねたり、何度も音読したりして慎重を期していた〉らしい(西日本新聞2022年8月10日付)。ところが、こだわったはずのそのスピーチは広島と長崎でほぼ同じ内容で、やはり「お前もコピペか」「思いがまったく伝わらない」と批判が起こる結果になったのだ。
いや、問題はコピペ演説だけではない。今年の8月6日、広島の平和記念式典後に岸田首相は「被爆者代表から要望を聞く会」で複数の被爆者代表と面会したが、「唯一の被爆国としてぜひとも(条約に)署名・批准をしてほしい。それができない場合でもオブザーバーとして参加してほしい」という被爆者団体代表からの要望を、岸田首相は拒否。
さらに、岸田首相はG7広島サミットでも「被爆の実相をしっかり伝える」などと喧伝していたが、広島では「黒い雨」を浴びた人たちを被爆者と認定する新基準が設けられた一方で長崎は対象外となったまま。これには「岸田首相による地元びいきではないのか」という声もあがっているが、被爆の実相を知るべきは岸田首相にほかならない。
被害者救済への早急な対応も、核軍縮への展望も示そうとせず、昨年は被爆地でのスピーチを使い回し。そして今年は安倍首相による「乗り越えられない試練はない」などという無神経極まりない言葉を、よりにもよってコピペしてみせる……。今回、あらためてはっきりしたのは、岸田首相も実態は安倍・菅首相と同じで、「被爆地選出の初の首相」という看板を「政治利用」しているにすぎない、ということだろう。
被爆地や被爆者、遺族の思いを無視しつづけながら、平然と「核軍縮がライフワーク」と口にする岸田首相。質の悪さという意味では、安倍・菅首相以上である。
(編集部)
最終更新:2023.08.10 10:31