大阪府HPより
依然として人口比で全国トップの感染者・死亡者を出しつづけている大阪府。医療現場も保健所も逼迫し悲鳴があがりっぱなしだが、そんななか、最高責任者である吉村洋文知事は先週末19日、なんとバラエティ番組に出演。しかも、そこでまたも大阪の異常な状況をごまかす詐術を用いたのだ。
吉村知事が生出演したのは、19日の午前9時25分から放送された読売テレビ『あさパラS』の2時間スペシャル。MCはお笑いコンビのハイヒールが務め、パネリストとしてハイヒールと同じ吉本興業所属のヤナギブソンや天才ピアニスト、関西ジャニーズJr.の福本大晴、元厚労官僚の中野雅至・神戸学院大学教授や元財務官僚の山口真由が出演。ニュースも扱うが、読売テレビのHPでも「バラエティ」に分類されている番組だ。
全国でも最悪の死亡者数を出しつづけているという非常事態に、お気楽なバラエティに出演する──。これだけでも絶句するほかないが、さらに吉村知事は、責任逃れの発言を何度も繰り広げたのだ。
たとえば、大阪の死亡者数が全国最多になっていることに話題が及ぶと、吉村知事はこんな話をはじめた。
「まず、大阪の陽性者の数に対するお亡くなりになられた方の割合、ま、致死率の割合っていうんですけど、致死率の割合でいくと全国で大阪は真ん中ぐらいになるんです」
「じゃあ、どういった方がお亡くなりになってるかっていうと、ほとんど高齢者の方です。これ、事実」
「平均年齢は80歳。で、お亡くなりになられる方の90%以上が70代以上の高齢者の方。入院されている方の全体の8割が70歳以上の高齢者の方」
最近になって吉村知事はこの「死亡者数より致死率を見ろ」という詭弁を繰り返しているが、バカも休み休み言え、という話だ。そもそも致死率はその疾病の重篤度を示す指標であり、本サイトでは既報でも指摘したが、陽性者が突出して多いこと自体が感染対策が後手に回っている証拠だし、しかも、陽性者中の死亡率は、感染者が少ない県の場合、1〜2名亡くなっただけで一気に跳ね上がる。そういう感染者数の少ない県と比べて「全国で中くらい」と言い張っても、なんの言い訳にもなっていない。
だいたい、陽性者における死亡者の割合を持ち出すなら、感染者が大阪より多い東京都と比べてみればいい。17日までの7日間の陽性者における致死率は、東京が0.09%に対して、大阪が0.25%と、大阪は東京の3倍近い致死率をマークしているではないか。ようするに、吉村知事は全国でも最悪の現状、都合の悪い数字を覆い隠すために、何の意味もない数字を持ち出し、ごまかしに走っているだけなのだ。