ワクチンの遅れを日本学術会議、野党、病院のせいにする橋下徹のスリカエ詐術に…
まず、番組の前半では、橋下氏と立憲民主党の小川淳也・衆院議員、松本哲哉・国際医療福祉大学教授が参加するかたちで、ワクチン接種が進まない日本の現状について議論。そこで橋下氏は、国産ワクチンが生産できないことを理由のひとつに挙げ、唐突にこんなことを言い出した。
「学術会議で軍事研究の禁止なんてやってる国がですね、ワクチンっていうのは化学兵器テロ、化学兵器に対する対応策としていろいろ開発されてきた経緯もあるわけですから、そういうことで軍事研究の禁止なんてことを学術会議でやってる国がですね、そりゃワクチンを早急に開発するなんてことはできないよ」
何を言うかと思えば「国産ワクチンができないのは日本学術会議のせい」とは……。言っておくが、国産ワクチンの開発が進まないのは、国がこれまでワクチン研究を軽視してきたからだ。実際、RNAワクチンは国内でも治験直前まで進んでいたが、2018年に国に予算を打ち切られ頓挫していたことがわかっている(東京新聞4月5日付)。
そういえば、橋下氏は菅義偉首相による日本学術会議の任命拒否問題が勃発した際、「アメリカとイギリスの学者団体には税金は投入されていない」というデマを垂れ流し、「金の面で自立しろ」などと主張していたが、国産ワクチンの開発を妨げてきたのは、それこそ研究を軽視して予算を削ろうとする橋下氏のような姿勢ではないか。
だいたいワクチンのことで言えば、橋下氏が称賛してきた吉村知事はちょうど約1年前に「大阪産ワクチン」をぶち上げ、昨年9月の実用化を謳っていた。一体それはどうなったんだ、という話だろう。
だが、橋下氏の話のすり替えは止まらない。“歯科医や薬剤師がワクチンを打てるようにすべき”と言い出すと、「歯医者や薬剤師に注射を打たせる、それこそボランティアの人に打たせるなんてこと、絶対に立憲民主党からはそんな法案提案できませんよ」などと野党批判を展開。また、大阪の重症病床不足問題に話題が移ると、「ずっと吉村さん、とにかく必死に確保して220ちょっとまで確保できたんですが、ずっとこれ増えてないんですよ」「増やす権限を与えられていないなかで『増やせ』と言っても増えない」「政治だけではなく医療側にも原因・責任はある」と、今度は病院側に責任を転嫁してみせたのだ。
ワクチンを確保できない菅政権の失態や、吉村知事が緊急事態宣言の解除に伴って重症病床を150床まで削減するよう要請していた問題は棚に上げ、野党や病院に責任を押し付ける──。いつもの橋下氏のやり口とはいえ醜いにもほどがあるが、重要なのはここから。この橋下氏の話のすり替えに、坂本社長が切り込んでいったのだ。