問題の「NHKスペシャル」の放送が延期になった原因は、森喜朗氏や官邸への忖度
と、このように、開催賛成派がことごとく感覚的かつ無神経な発言に終始し、討論を見ても「開催できる気がしない」という印象しか持てなかった、この『令和未来会議』。ある意味、開催賛成派のヤバさが露呈するいい機会になったとも言えるが、問題はこのような討論がいまごろおこなわれたという点だ。
水無田氏も、冒頭で「この番組、ようやく議論なされるようになりましたけれども、もうすぐ聖火リレーがはじまるという直前期ですよね」と指摘していたが、じつは、この東京五輪をめぐる討論は当初、1月24日に放送が予定されていた。それが放送直前の1月17日に急遽、収録を中止。あらためて生放送で仕切り直したのが、今回の番組だった。
1月17日の収録はなぜ中止となったのか。当時、NHKは東京五輪の開催の是非を訊いた世論調査の結果をめぐって森喜朗氏や官邸から睨まれており、そのため番組を中止。さらにはその後の世論調査では開催の是非を問うのではなく「どのような形で開催すべきか」という“開催ありき”の質問に変更してしまうという経緯があった。
そして、ようやく、この番組が放送されたのは聖火リレー直前──。この放送によって開催賛成派の説明の滅茶苦茶さが可視化されたことは評価すべきだが、同時にNHKが圧力に屈服した事実も忘れてはならないだろう。
(編集部)
最終更新:2021.12.26 05:01