松井一郎大阪市長は週明けようやく登庁し「対応がうまくいったんだろうなと思っていた」と他人事
松井市長といえば、週に1回も登庁していないこともザラにあり、その実態が明らかになると「税金泥棒はどっちだ?」という批判の声も上がってきたが、まさかこんな緊急事態が起きてもサボり続けるとは……。
実際、本日午後になってようやく松井市長はカメラの前に姿を現し、今回の火災について「痛ましい事件」として被害者にお悔やみの言葉を口にしたが、自らは再発防止策について発言することはなし。記者からは「先週の金曜日(松井市長には)公務がなかったので、あらためて伺いたいのだが、実際に火災のあとにどういうふうに報告があり、どういう指示を出されたのか」という質問が飛んだのだが、すると、松井市長はこう答えたのだ。
「まず、すぐに、えー、所管のほうから連絡いただいて、そのときは『30分で消し止められた』という報告でした。だから、まあ、30分なんでね、早期に初期の対応うまくいったんだろうな思ってましたけど、その後、報道等でもあるようにね、大勢の方が亡くなったっていう報告を受けました。で、我々とすれば、犯罪被害者のみなさんに、被害者のみなさんにいかに寄り添えるかということを考えて、いま対応しているということです」
たしかに大阪市消防局によると、火災について覚知したのは17日の10時18分、鎮圧は10時46分となっている。だが、前述したようにその後には逃げ遅れた人の救出活動がおこなわれ、また前述したように20人以上の人が心肺停止という深刻な状態にあることも1時間もしないうちに報じられ、さらに居合わせた人の証言から事件性も指摘されはじめていた。にもかかわらず、松井市長は「(鎮圧まで)30分で対応がうまくいったんだろうなと思っていた」などと悠長に答えたのだ。
しかも、記者が「公務がなかったからあらためて伺うが」と言及したことを考えても、「大勢の方が亡くなった」という報告を受けても松井市長は登庁してマスコミに情報発信することもせず、いまごろになって「被害者にいかに寄り添えるか対応している」など言い出したのだ。繰り返すが、文通費問題や維新への期待が高まっているというニュースについては反応する暇があったというのに、である。
言っておくが、2008年に個室ビデオ店放火事件が起こった際には、午前3時ごろに火災が発生したが、同日午前8時半すぎには当時の平松邦夫・大阪市長が現場を視察し、「大変たくさんの方が亡くなられたので現状を確認するためにきた」「これまで聞いた限りでは、この店に消防法や建築基準法など法令上の違反は見当たらないということだったが、避難経路や火災報知器の設置状況などがどういう状態だったのか確認したい。また、大阪市として同じようなビデオ店にすぐにでも一斉に立ち入り検査をして問題がないか調査したい」と語るなど、すぐさま対応をおこなっていた。松井市長とは雲泥の差だろう。
それだけではない。記者からの「市の消防局も当時動いていたと思うが、市長のほうはどのような報告を受けていたのか」という問いに松井市長は「まず消防のほうからは、現在、小規模な複数のテナントが入る、そして入口が一カ所である、そういうビルについては約5400件、今回の火災を受けて、避難経路等のみなお……(言い直して)確認を、していただくということで、いまもう動き出しております」などと回答したが、これについて別の記者が「5400件というのは金子総務大臣が言った6万件のうち5400件が大阪市ということか」「総務省の指示を受けてではなく大阪市として独自で(確認を)やっているのか」と質問。だが、松井市長は「どっちがどっちでもいいんじゃないの? うん。総務省から指示されたのはもちろんやっています」などと回答。まるで他人事のような態度をとったのだ。
もちろん、再発防止には法改正などが必要になってくることも考えられるかもしれず、松井市長の対応だけではどうにもならない部分もあるかもしれない。だが、検証を通して国に対し再発防止策を提言することは当然できるし、そのためにも平松市長のように現場を視察することも重要な仕事だ。だが、そうした市長の仕事をまるでせず、党勢拡大のための発信しかしていなかったのである。