安倍は「ポケットマネーで支出」を「立て替え」とごまかすも田村智子参院議員の追及で新疑惑が
だが、25日の国会のハイライトは、なんといっても共産党・田村智子参院議員の追及だ。
ご存じのとおり、田村議員は2019年11月、この「桜を見る会」問題を最初に安倍首相にぶつけた人物。そして今回も、疑惑の核心となる問題を指摘した。それは、24日の会見で安倍前首相が説明した、「補填の原資は自分の手持ち資金だった」という問題に絡んだものだ。
安倍前首相はこの補填の原資問題について、会見で当初は「私の預金から下ろした手持ち資金から支出した」と発言。記者から「仮にそうであればご自身の私費がそのまま有権者に直接利益として渡ったことになる」と追及されると、慌てて“立て替えた”とごまかした。
田村議員はまず、この点をとらえ、「あなたの私費から出したと最初は言い、それを立て替えたと言い換えをおこなっています。誰が負担すべきものを立て替えたということですか」と追及。すると、安倍前首相はしどろもどろになりながら「安倍晋三後援会」と答えた。
しかし、じつは「安倍晋三後援会」が訂正した収支報告書には、この安倍前首相が「立て替え」と主張する金の動きの記載がまったくなかった。そのことを、田村議員は安倍前首相にさらにこう突きつけた。
「(安倍晋三)後援会の訂正された収支報告書を見てもですよ、たしかに不足分の支払いの記述はあります。しかし、その不足分がどこから出てきたのかが、まったくわからない。結局、実態はあなたのポケットマネーから出しているんじゃないんですか?」
「そのお金がどこから出てきたのかが、一切説明されていないんです。わからないんです」
じつは、本サイトでもこの点を不可解だと考えていた。報道によると、安倍氏側は〈参加者の会費は当日中にホテル側に渡し、補填分は後日、集金に訪れたホテル担当者に、議員会館にある事務所の金庫から現金で支払うなどしていた〉というが(産経新聞17日付)、2019年分の政治資金収支報告書の訂正版を確認すると、収入として「前夜祭」で徴収した参加費が「催物事業」として383万5000円、ホテルニューオータニへの支出が「宴会料等」として4月12日に383万5000円、同月19日に260万4908円として新たに加えられている。この383万5000円の収入および支出が徴収した参加費をホテル側に渡した分であり、19日の260万4908円が問題の“ポケットマネー”なのだろうと思われるが、しかし、収支報告書にはこの補填分の260万4908円が収入や借入としては記載されていないままなのだ。
一緒に訂正されたという2018年以前の収支報告書は山口県選挙管理委員会がネット公開していないため、本サイトではそれが確認できておらず、別の年の分でその収入に関してなんらかの記載があるのかもしれないと調査を進めている最中だったが、田村議員によると、やはり記載していなかったということらしい。
「収支報告書の訂正を見てみますと、たしかに支出の部分は増えています。でも、収入で増えた分は会費の収入だけなんですよ。不足分がどこから出てきて払われたのか、(記載が)ないんですよ。安倍晋三さんからの寄附もないんですよ。繰越金が訂正されているだけ。だから、一体どこからどうやって出てきたのかというものが、まったくわからない」
これはようするに、検察の捜査を受けて収支報告書を訂正しておきながら、その訂正分も補填分の出どころが不明の「不記載」状態ということではないのか。それどころか、補填分が総理の“ポケットマネー”から支出されていることがわからないかたちになっているとしたら、安倍氏の“ポケットマネー”はいわば裏金のようなものではないか。
これらの問題を、わずか7分しか与えられなかった質疑時間のなかで追及した田村議員は、「(金の動きが)わかる資料を提示いただきたい」と要求した上で、「何ひとつ事実はあきらかになっていない」とし、あらためて追及の場を設けることを求めたが、これは当然おこなわれるべきものだ。そしてそれは予算委員会で、かつ偽証罪が問われる証人喚問として再度、追及されなければならない。こんな状態で「説明責任を果たした」などとほざくこと自体、国民は許してはいけないのだ。
(水井多賀子)
最終更新:2021.07.31 12:46