電通のライブサイト運営業務の落札価格は少なくとも10億円以上にのぼる
電通は五輪が開催されればスポンサー企業による応援キャンペーンCM・広告展開によってさらなる利益を得るが、中止となればそれも消え、それどころか香港など海外に売ったテレビ放映権料を全額払い戻さなくてはならない。また、組織委は五輪の会場準備や運営なども電通をはじめとする大手広告代理店などに委託。すでに巨額が電通に渡っていると考えられるが、中止になれば当初の計画よりも減収となる可能性もある。
それは、批判をものともせずに実施しようと躍起になっている「ライブサイト」にしても同様だ。本サイトで報じたように、入札情報を確認したところ、代々木公園のライブサイトの実施運営業務は電通が落札しているからだ。
ちなみに、東京都の2021年度予算案の概要によると、「ライブサイトの感染対策」に8億円、「ライブサイトを中⼼とした祝祭空間の創出(オリンピック)」に47億円、「区市町村が実施するコミュニティライブサイトやシティドレッシング等に対して⽀援」に21億円を計上。一部シティドレッシング等も含まれているが、ライブサイト関連で76億円もの予算が組まれている。このうちどれくらいの金額が電通に渡っているかは、東京都が直近半年間に決定した分の落札価格しか公開していないためはっきりしないが、ライブサイト運営業務の電通の落札価格は少なくとも10億円以上にのぼるのではないかと言われている。また、北海道札幌市の「ライブサイト」企画運営業務についても、やはり電通北海道が落札している。
さらに、「ライブサイト」の計画案では、パブリックビューイングやステージイベント、競技体験などのほか、大会パートナーの出展ブースも設置される予定となっている。つまり、「ライブサイト」の実施を諦めようとしないことの理由には、こうしたスポンサー企業のPRの場を計画どおり維持するという目的もあるのではないか。
スポンサー至上主義の東京五輪開催によって電通がボロ儲けし、それと引き換えに市民の命と安全が踏みつけにされる──。この商業五輪の本質を隠そうとするための「ワクチン大規模接種会場への転用」などという詐術に騙されてはいけない。
そもそも、五輪を中止にさえすれば、1回目の接種をおこなう旧築地市場跡地のみならず、国立代々木競技場や東京体育館といった大きな室内施設を使用することができる。「ワクチン接種を優先」などと言うなら、真っ先に東京五輪の中止に動くべきなのだ。それをせずに、こんな目くらましでごまかそうとする小池都知事は、菅首相と同様、都民の命なんてなんとも思っていない。そのことを認識すべきだろう。
(編集部)
最終更新:2021.06.02 10:26