会見やツイッターでの明らかな矛盾を指摘せず、「高須さんは潔い」とヨイショするマスコミ
いずれにしても、こうした態度を見て感じるのは、高須氏はほんとうに不正署名が行われたことを知らなかったのか、という疑問だろう。「不正が大嫌い」と言うなら、ボランティアから不正の告発があった時点で、不正を徹底調査するはずだ。
ところが、高須氏は口では「全責任は僕にある」と言いつつ、田中事務局長の「知らない」「やってない」という釈明をなんの裏付けもなく「信じる」と同調するだけ。一方で告発したボランティアスタッフを攻撃したり、陰謀論で大村知事や津田大介氏、左派に責任転嫁してきた。不正の疑いがどれだけ濃厚になっても、まともに調査したり情報公開する責任を一切果たしてこなかったのだ。
これは、不正を知っていながら、必死でごまかそうとしていたようにしか見えない。
また、署名偽造を、高須氏が事前にまったく知らず関与していなかったとしても、ある時点から、疑惑があるのを把握しながら、調査・説明を拒否し、疑惑告発の動きを潰そうとしてきたという責任は大きい。
言っておくが、これは高須氏が会見やツイッターなど公の場で発言してきたことだけを見ても、明らかな事実である。
しかし、多くのテレビ局は、こうした高須氏の発言の矛盾や、調査・説明責任の放棄、不正の隠蔽などを厳しく追及していない。高須クリニックがスポンサーである『バイキングMORE』(フジテレビ)に至っては、田中事務局長の嘘や河村市長の責任転嫁を非難する一方で、高須氏の「責任は僕にある」という口先だけの発言を「潔い」「さすが」などと持ち上げる始末だ。
高須氏の関与の有無や金の流れなど、どこまで明らかになるか捜査の行方に注視したいが、それとは別に、こうしたメディアの責任もきちんと追及すべきだろう。
高須クリニックという大スポンサーへの忖度と、ネトウヨからの攻撃を恐れ歴史修正主義と差別思想をきちんと批判してこなかったことが、増長させ、大量のリコール署名偽造という民主主義を冒涜する前代未聞のスキャンダルまでを生んだ一因だからだ。
(編集部)
最終更新:2021.05.23 10:32