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池江璃花子復活劇を五輪強行派が利用、「反対派は池江選手に言えるのか?」の大合唱! 門田隆将や安倍前首相も便乗ツイート

池江璃花子復活劇を五輪強行派が利用、「反対派は池江選手に言えるのか?」の大合唱! 門田隆将や安倍前首相も便乗ツイートの画像1
東京2020組織委員会公式ウェブサイトより


 あまりにもドラマティックな復活劇だった。昨日4日におこなわれた競泳の日本選手権で、白血病で長期療養していた池江璃花子選手が女子100メートルバタフライ決勝で3年ぶりの優勝を果たし、400メートルメドレーリレーの五輪派遣標準記録を突破して東京五輪代表入りを内定させたからだ。

 池江選手が白血病であることを公表したのは2019年2月、つらい治療を乗り越えてプールに戻ってきたのは昨年の3月のこと。本人は2024年のパリ五輪に照準を合わせているとしてきたが、それが約1年で日本選手権優勝を果たすとは……。レース後、池江選手は涙を流しながら「自分が勝てるのはずっと先のことだと思っていた。つらくても、しんどくても努力は必ず報われるんだな、と思った」とコメントした。

 今回の池江選手の復活には多くの人が感動し、実際、世界中から大きな拍手が送られている。なかでも、いま病気と闘っている人にとって、池江選手の姿は大きな希望を与えるものになったことだろう。

 しかし、この池江選手の素晴らしい健闘の一方で、ネット上ではこんな声が噴出している。それは、「東京五輪開催に反対している人は、池江選手にそれを言えるのか?」というものだ。

〈「東京オリンピックなんか中止にしろ」とか言ってる人たちは池江璃花子にもそう言えるのかい?〉
〈ほんとこれからオリンピック反対や中止を言ってた著名人の方々はどうするんですかねあんな素晴らしい奇跡を起こした池江さんに対して同じ事が言えるのかと〉
〈「オリンピックは中止したらいい」と言うコメンテーター。池江さんの前で言ってみろ。〉

 病気を乗り越えて池江選手は東京五輪への切符を手に入れようとしているのに、その大会の開催に反対できるのか──。さらに露骨だったのは、ジャーナリスト・門田隆将氏のツイートだ。

〈池江璃花子選手の奇跡と涙は五輪が“勝負の世界に生きるアスリート”の為にある事をマスコミや反対勢力に教えた。アスリートの努力に敬意を払い、最高の舞台を用意したい〉

 東京五輪はアスリートのためのものであり、開催に反対する者はアスリートの努力を踏みにじっている。そう言いたいらしい。

 だが、このコロナ禍で優先させるべきは「アスリート」なのか。たとえば、NHKの番組で五輪開催の意義について討論がおこなわれた際、元アスリートの増田明美氏が「スポーツに触れれば元気になる」「理屈じゃない」と主張した際、やはり元アスリートで五輪メダリストの有森裕子氏はこう語っていた。

「選手のこととか、スポーツのことを思うのは一回やめてほしい。それを応援している人たち、それに日常的に関係しない人たち、その人たちあってのスポーツじゃないですか」
「アスリートファーストじゃない。社会ファーストじゃないですか。社会がちゃんとないとスポーツできないんですもん。社会があって、その下に人間がより健康に健全に生きていくための手段としてスポーツがあり、文化があり、そこのひとつなんです。そのひとつに大きなイベントとしてオリンピックがある。ちゃんとした社会と健全な人たちのもとで守られてできていっている」
「(社会に対する)愛と言葉が足りなさすぎるんじゃないですかって思う」

 アスリートではなく、まず社会に生きる人びとの健康と安全を守ることが優先されるべき。これこそ当たり前の話だし、開催に反対する人が多いのもこの原則に立っているからだ。

 しかも、「アスリートファーストであるべき」という主張を五輪開催に反対する人びとに対してぶつけるのは、はっきり言ってお門違いだろう。「アスリートの頑張りを踏みにじるつもりか」と批判をぶつけるべき相手は、間違いなく東京五輪組織委員会および日本政府のほうだ。なぜなら、組織委こそがアスリートの努力を、自分たちの努力不足によって踏みにじろうとしている張本人にほかならないからだ。

 そのことを象徴するのが、組織委が主催するテスト大会について、国際水泳連盟(FINA)が中止する意向を伝えてきた件だろう。

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