MIKIKO氏を排除したのは森前会長と、電通ナンバー2・髙田佳夫代表取締役
しかも、組織委は「警察に相談しながら内部調査にも着手」したというように、内部告発をおこなっている者に対しても脅しをかけている。
だが、今回の問題は、組織委が開会式演出を不正に歪めたことを告発する「公益通報」以外の何物でもない。
MIKIKO氏は3月26日に出した公式コメントで演出から一方的に外された経緯を明らかにしたが、この異常な排除の背景には、組織委の森喜朗・前会長と五輪利権を一手に握る巨大広告代理店・電通の存在がある。
「週刊文春」も繰り返し指摘しているように、森前会長と電通のナンバー2である髙田佳夫・代表取締役は昵懇の関係で、MIKIKO氏排除に動いたのもこのコンビだった。
森前会長は、高田会長を使って、開会式演出案にたびたび介入。MIKIKO氏がそれを拒否したため、高田氏がMIKIKO氏降ろしに動き、コントロールしやすいからと、自分と電通の同期のクリエイティブディレクターで、渡辺直美をブタに見立てるというルッキズム全開の演出案を出した佐々木宏氏を立てたのだ。
先週号の「週刊文春」は、MIKIKO氏が昨年10月に電通幹部らに送ったメールを報じているが、そこにも〈5月11日/高田さんから呼び出しを受け/森会長の意向で緊急対策リーダーとして佐々木さん体制になる旨伺う〉とはっきり書いている。
そして、昨年5月19日、MIKIKO氏は森会長、高田氏と面談するのだが、その際、森会長が「引き続き、オリ開会式はMIKIKOさんにリーダーをお願いしたい」とそれまでをくつがえすような発言を口にした。ところが、そのあとMIKIKO氏は別室に連れて行かれ、高田氏から信じ難い言葉をかけられたことをメールで報告している。
〈「森会長はボケてるから、今の話は事実と違うから」と再度佐々木さん体制を念押しされ、「佐々木から連絡する様に伝えるから」として解散〉
これについて、「週刊文春」は、“森会長はMIKIKO 氏をそのまま起用したがったが、電通の高田氏が開会式を自らの意のままに動かし、電通の利益にしたいために一方的にMIKIKO氏排除に動いた”というような解説をつけていたが、全国紙の東京五輪担当記者はこう解説する。
「MIKIKO氏排除は森前会長と電通の高田氏の間で合意されていたはず。ところが、森氏はMIKIKO氏から強く抗議を受けたため、つい口をすべらせてしまったんだろう。もし森氏が本気でMIKIKO 氏を続投させたいと思っていたら、さすがの高田氏でも、強行することはできないからね」
いずれにしても、組織委がやらなければならないのは、「週刊文春」への抗議や内部告発者への恫喝ではなく、MIKIKO氏を不当に排除した経緯の説明、そして電通との異常な癒着の解明ではないか。