高須院長は「バイキング出演者はお金で発言をコロコロ変える二流芸能人でない」と絶賛
この日の『バイキング』はとにかく最初から最後までこんな調子で、ほとんどの出演者が競うように、高須院長は悪くない、責任はないと繰り返していた。
いったいなぜこんな極端な放送内容になったのか。最大の原因はやはりスポンサーへの忖度だろう。実は、高須クリニックは『バイキング』の番組スポンサーなのだ。
実際、同番組はこれまでも高須氏のヨイショ密着特集やインタビューなどを、しょっちゅうおこなってきた。
2017年に当時民進党の大西健介衆院議員が国会で美容クリニックのCMの問題点について取り上げたことを、名誉毀損だとイチャモンをつけ大西議員や党を訴えた際も、訴訟中にもかかわらず、高須氏の主張に丸乗りする特集を展開(その後、1審2審とも高須氏が敗訴)。ネットでは、忖度ではないかと批判の声が上がった。
また、今回のリコール署名で不正の告発が相次いでいた1月にも、そうした問題には一切触れず、高須氏のがん闘病について特集をしていた。
そして、この日の『バイキング』についても、あまりの高須院長擁護ぶりに、ネットで「高須擁護がひどい」「忖度」「スポンサーだから」などと大きな批判の声が巻き起こっていた。
こうした番組批判に対し、当の高須院長はツイッターでこう反論している。
〈スポットではありません。高須クリニックは番組スポンサーです。 スポンサーは番組内容に介入しません。 バイキングに出演している方々はお金で発言をコロコロ変えるような二流の芸能人とはカテゴリーが違います。筋が通っています。 怒りをおぼえます。あなたに謝罪を求めます。〉(2月24日)
しかし、高須院長が介入しなくても、番組や出演者が忖度している可能性は十分あるだろう。高須院長は同番組には信念を絶対に曲げない「一流芸能人」が勢ぞろいしていると思っているようだが、この日の放送内容を見るかぎり、とてもそうは思えない。普段とあまりに違いすぎるからだ。
ブラマヨ吉田はともかく、坂上やヒロミの発言が他のときと違いすぎるからだ。彼らは右翼的な思想の持ち主ではないし、ある程度の情報リテラシーもある。実際、政権の不祥事が起きても、辛坊治郎氏や八代英輝弁護士のような陰謀論やメディア批判へのすり替えを口にすることはあまりなく、むしろ、他のワイドショーよりも踏み込んだ批判をすることのほうが多い。それが高須院長に対しては説明責任すら求めず、最初から必死で「高須さんがこんなことに関わるはずがない」とかばい続けたのである。
出演者の一人である横粂勝仁弁護士の態度にも違和感を感じざるを得なかった。横粂弁護士は24日に更新した自身のYou Tubeでは、「個人的に思うのは(署名偽造に)800万円程度かけて、リコールされたくない側のスパイというのは無理がある。お金をかけずに混乱させる手法はあるので」とリコール反対派の陰謀説に否定的な見解を語っているのだが、この日はブラマヨ小杉や泉氏が口にするスパイ説、陰謀説に一切異論を挟まなかった。