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菅首相がきょう訪問する福島の「原子力災害伝承館」で、被災者の“語り部”が国や東京電力の批判をしないよう口封じ

水俣病伝承館ではチッソ批判を禁止してないのに原発災害の伝承館では国や東電批判を禁止


 
 記事によると、「語り部」の研修会で配られたマニュアルでは〈口演内容は「大震災及びそれに伴い発生した原発事故に関する」ものとする一方、「特定の団体、個人または他施設への批判・誹謗中傷等」を「口演内容に含めないようお願いします」と記載〉していたといい、〈口演内容は事前に原稿にまとめ、伝承館が確認、添削。特定の団体を批判した場合などは口演を中止して、語り部の登録から外すこともあるという趣旨の説明もあった〉という。実際、〈東電や国の責任を指摘する〉語り部のひとりは、〈添削で原稿の一部の変更を求められた〉というのである。

 また、朝日新聞の「『特定の団体』に国や東電が含まれるかどうか」という取材に対し、伝承館を所管する福島県の生涯学習課長は「そうですね」と回答。県から出向する伝承館の企画事業部長も「国や東電、県など第三者の批判を公的な施設で行うことはふさわしくないと考えている」と答えている。

 言うまでもなく、原発事故は「安全神話」を振りまいてきた東電と国の責任抜きには語れないものだ。しかも、この施設は「東日本大震災・原子力災害伝承館」というその名のとおり、原発事故の教訓を伝え継ぐ役割を担っている。にもかかわらず、被災した「語り部」の思い、考えを封じようとは何事か。

 無論、「伝承」を謳う施設でこのような言論封殺は許されるものではない。たとえば、熊本県にある水俣市立水俣病資料館では、語り部に原因企業であるチッソの批判を禁止するようなことはなく、〈一部の語り部はチッソを名指し、「水俣病の原因と知りながら有機水銀を流した。水俣病問題でなく事件だ」と批判することもある〉(朝日新聞23日付)という。

 しかも、福島第一原発事故は、国会の事故調査委員会も「事故は自然災害ではなく明らかに人災」と結論づけているものだ。国も東電も地震や津波に対する十分な安全対策を怠り、さらには事故後の対応でも東電はメルトダウンの事実を隠蔽するなど杜撰極まりないものだった。こうした実態を語ることさえ許さず、何を「教訓」にしようというのだろう。

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