1億5000万円が投入された河井案里の選挙は選挙費用を定めた公選法247条違反
つまり、案里氏の選挙に、安倍自民党が約1億5000万円もの大金を注ぎ込んでいたわけだが、「文春」は、自民党関係者や自民党のベテラン職員のこんな証言を掲載していた。
「党の金の差配は幹事長マターですが、河井陣営への一億五千万円にのぼる肩入れは安倍首相の意向があってこそです」
「安倍首相の後ろ盾は絶大で、案里氏は党本部からの『安倍マネー』を存分に使うことができたのです」
実は、1月23日におこなわれた参院代表質問では、立憲民主党・福山哲郎議員がこの問題を取り上げ、「考えられない金額。自民党総裁として事実かどうか答えてください」と迫り、「安倍総理の秘書が少なくとも4人、広島の選挙に手伝いに入っていたという報道もあるが、これも事実か」と問いただしている。
だが、安倍首相はこの質問をスルーして答弁しなかった。また、案里議員は取材に対し「いただきましたが、違法ではありません」と開き直っていた。
しかし、いくら問題にふたをしようとしても、この1億5千万円が原資になって、違法な選挙が行われていたという事実は消せない。
それは今回のウグイス嬢に対して法定上限額である日当1万5000円を超える3万円を支払っていたというだけではない。このほかにも〈陣営の一員として選挙運動をした男性会社員に対し、約86万円を支払った〉という疑惑も浮上(共同通信2019年12月29日付)。また、案里氏の選対を取り仕切っていたといわれている夫の克行氏が関与するかたちで、複数の選挙運動員に違法な報酬を支払っていたという疑惑を「週刊文春」も伝えている。1億5000万円という巨額資金は、ほかにも違法行為に注ぎ込まれていなかったのか、さらなる追及も必要だろう。
しかも、この金の流れをめぐっては、公選法247条違反(選挙費用の法定額違反)にあたるのではないかという声もあがっている。
選挙では各陣営が使う選挙費用については公選法で上限が定められ、上限額は選挙の種類によって異なる固定額と選挙人名簿に登録された有権者数などによって算出される。これは選挙の公平性を担保するためのものだ。法定額を超えて支出すると、出納責任者が3年以下の禁錮又は50万円以下の罰金になり、連座制の適用によって候補者も当選無効となる。