3〜5月の土日は、テレビ出演以外ほとんど「出席行事なし」だった吉村知事の公務日程
ご覧のとおり、5月の出演本数は30本(13日の朝日放送番組収録を除いた)。テレビ東京以外は民放キー局と在阪民放5局を制覇し、民放のみならずNHK大阪放送局の番組も定期的に出演……。言っておくが、どんな人気タレントでもほぼ連日のこのようなテレビ露出はありえないものだ。
そして問題なのは、吉村氏はタレントではなく「大阪府知事」であるということだ。これらのテレビ出演は「公務」だというが、司会のハイヒールを筆頭に多数の吉本芸人が出演する『あさパラ!』や、ネトウヨ番組『そこまで言って委員会NP』、坂上忍の冠番組『直撃!シンソウ坂上』はいずれもバラエティ番組だ。実際、『そこまで言って委員会』では、司会の辛坊治郎が「総理大臣目指している?」「西村(康稔・コロナ担当相)さんは嫌い?」などといった新型コロナ対策とは関係ない質問を投げかけ、それに吉村知事も嬉々として回答。2025年の大阪万博のジャンパー姿でテレビ出演していることについて「スーツが嫌いなんです」などとどうでもいいことを語るなど、知事ではなくタレントのようだった。
その上、ゴールデンウィーク中とはいえ緊急事態宣言下だった5月4日や6日にいたっては、公務日程にあるのはテレビの出演情報だけ。「庁内執務」「府議会本会議」「打ち合わせ」「会見」といった日程は一切ない。付け加えると、新型コロナでテレビに出演しつづけるようになった3〜5月の3カ月間、土曜は4月11日と5月2日を除いてテレビの出演情報以外は「出席行事なし」と記載されているだけ。日曜は4月19日に『Mr.サンデー』、5月31日に『生!池上彰×山里亮太』に出演した以外はすべて「出席行事なし」となっている。
「吉村寝ろ」などというハッシュタグが生まれ、吉村知事の体調を心配する声がネット上であがっていることをワイドショーやスポーツ紙などがこぞって取り上げたが、何のことはない。しっかり休んでいるのである。
そもそも、「吉村寝ろ」などという寝言のようなハッシュタグが生まれたのも、たんに吉村知事がテレビに出演しまくっていたからであって、実際には寝る間も惜しんで実務にあたるどころか、積極的にテレビに露出することを選んでいたのだ。どうしてこれが「新型コロナと戦う知事」と言えるのだろう。
しかも、指摘しておかなくてはならないのは、大阪府HPに掲載されているこの「知事の日程」から外されている吉村知事のメディア出演があるということだ。公務日程には書かれていないが、吉村知事は4月7日と6月2日、あのネトウヨ文化人の吹き溜まりである『真相深入り!虎ノ門ニュース』に出演しているのだ。
『虎ノ門ニュース』は、BPOが「重大な放送倫理違反があった」「人種差別を扇動するもの」「名誉を毀損する内容」と断じた沖縄ヘイトデマを放送した『ニュース女子』のDHCテレビが制作し、差別扇動が繰り返されているネット番組だ。吉村知事は5月20日の会見でテレビに多数出演する理由について「緊急事態時に府がどういう考えで、どういうことを進めているか、情報を公開することが重要。批判もあるが、情報を出さないことより健全なこと」などと語ったが、このようなネトウヨしか観ていないようなネット番組に出演することは、知事の行動としてどうなのか。