「文春」の音声テープ報道以外にもAMEDを舞台にした和泉・大坪の行政私物化疑惑
「週刊文春」(2月27日号)の記事はその際の和泉氏の発言内容を「安倍首相補佐官愛人『溺愛』音声」と題して公開したのだが、中身は唖然とするものだった。何しろ、文春によると、和泉氏はAMEDの幹部職員3人にこんなセリフを吐いているのだ。
「大坪次長もさ、激しくてみなさんとうまくいっていないかもしれないけど、彼は健康・医療戦略……彼女か、健康・医療戦略室次長に残すし、AMED担当室長は彼女になるから。そういうつもりでちゃんと付き合ってもらわないと困るよ」
和泉氏は、大坪氏は何があっても替えないし、出世させるから、お前らが態度を変えろ、と迫ったというわけだ。
しかも、この前後に和泉氏は「ちゃんとできていないようだったら、もともとの出身省庁からこのポストを置くのはまずいってことになる」「財務省は全面的に、皆さん方の頭を飛び越えて、本省の各原課も飛び越えて、各々会計課と直接やるから。あなた方がどういうつもりか知らないけど、そんな生易しい話じゃないからさ」などと発言していた。
ようするに、和泉氏はAMEDを愛人である大坪氏が思い通りに動かせる組織にすべく、人事や予算をちらつかせて圧力をかけていたのである。
まさに行政の私物化の極みだが、しかし、AMEDを舞台にした和泉・大坪の不倫カップルの行政私物化は「文春」が報じたこの恫喝テープだけではない。本サイトが以前報じたように、緊急的な感染症対策に使われるような予算を、大坪氏が無理やり自分の担当するプロジェクトにつけた問題も明らかになっている。
その所業が暴かれたのは、1月9日に開かれた第10回AMED審議会でのこと。専門委員のほかAMEDの役員、さらに大坪氏ら官僚も参加する会合だが、AMEDの末松誠理事長が挙手し、こう述べたのだ。
「事実を申し上げたいと思っていることがございまして、昨年の7月以降、実質的にはそれより前から始まっていたかもしれませんけれども、大坪氏が次長になられてから、我々のオートノミーは完全に消失しております」
「令和元年度の後半戦の調整費がどういう運用の仕方をされたかということを次に申し上げますと、その80億前後のお金がですね」
ここまで話したところでAMED審議会会長の田辺国昭氏にさえぎられてしまったが、末松理事長が口にしたこの「80億前後の調整費の運用」こそが、大坪氏の新たな疑惑だった。