検査医療体制強化費もわずか30億円 吉本興業には100億円の補助金を出すくせに
日本の場合は、患者やその家族への生活支援は限りなくゼロに近い。しかも、驚くべきは、いま喫緊の問題となっている「検査体制・医療体制の強化」に、わずか30.6億円しか投入していないことだ。
この数字がいかに異常か。たとえば、安倍首相が懇意の吉本興行がNTTと共同でおこなう教育コンテンツなどを国内外に発信するプラットフォーム事業参入には、昨年、経産省がつくった官民ファンド「クールジャパン機構」が最大100億円出資すると決定している。
つまり、吉本が参加する事業に最大100億円もの補助金をポンと出す一方で、「国難」と呼ぶべき新感染症対策、とりわけPCR検査や医療機関の受け入れ体制といった国民の不安が高まっている分野には、その3分の1にも満たない約30億円しか対策費を計上していないのである。
驚きはそれだけではない。前述したように他国は国民への生活・休業補償に予算を割いているが、日本は生活補償にかんする予算振り分けが見当たらないばかりか、「雇用調整助成金」に充てられているのも、たったの1億円だけだ。
たしかに政府は153億円のほかにも、海外からの観光客の宿泊キャンセルで打撃を受けている旅館業をはじめとする中小企業向けとして日本政策金融公庫などに5000億円の緊急貸し付け・保証枠を設けているが、これを足しても韓国の予算措置には及ばない。
しかも、安倍首相や麻生太郎財務相は、この対策費とは別に昨年末に総合経済対策を打っていることを持ち出して追加の経済対策を現状は考えていないとしているが、当然ながらこの総合経済対策は新型コロナの発生など踏まえていないものだ。それでなくても消費増税によって日本経済は土台からボロボロなのに、そこに世界不況を巻き起こしかねない新型コロナの影響を受けるのである。にもかかわらず、この悠長な態度は一体何なのか。
いや、そもそもこのままの対策費ならば、PCR検査をさらに拡大させることなど無理な話だろう。検査を拡大させればその費用がかさむだけではなく、検査拡大によって患者も増え、入院費などもかさんでゆくからだ。果たしてそれを約30億円の予算で賄えるだろうか。
市中感染が拡大し、経済の先行きも不安しかないなか、陣頭指揮をとる安倍首相が「やってる感」アピールだけで、休業補償の打ち出しもないまま独断専行で休校要請を決め、対策費も後手後手で予算投入を渋っている現在。ほんとうにこの国はどうなってしまうのだろう。
(編集部)
最終更新:2020.02.27 11:39