Jパワーが石炭火力発電進めるインドネシアへの安倍首相訪問に、和泉補佐官と北村Jパワー会長が同行
古巣の手下を使い、その上、民間企業に便宜供与を約束してまで、沖縄県民の反対の民意を踏みにじる……。和泉首相補佐官といえば、加計学園問題でも前川喜平・元文科事務次官を恫喝するなど「全体のシナリオを描いていた」人物と指摘され、安倍首相の幼馴染が中心になって進めていた「明治日本の産業革命遺産」の世界遺産登録をめぐっても文化審議会の委員から反対派の委員を排除するよう圧力をかけていたことがあきらかになっている(詳しくは既報参照→
https://lite-ra.com/2019/12/post-5138.html)。つまり、安倍首相がこれまでのルールや行政手続きをひっくり返してお友だちに利権を優遇したいとき、安倍首相の代わりに現場に圧力をかけ、ゴリ押しをするのが和泉首相補佐官の役目だったわけだが、対米従属と沖縄への圧政という安倍首相の手段を選ばない政策でもこうして和泉首相補佐官は暗躍していたのだ。
そして、この和泉首相補佐官の動きによってJ パワーからの協力が得られた。沖縄タイムスの取材に対し、Jパワーは「防衛局から依頼があり、検討した結果、設備の一部の使用を認めた」と回答しているのだ。
しかも、このとき和泉首相補佐官が「海外案件は何でも協力しますから」と話した約束も、実際に果たされた可能性がある。
というのも、当時からJパワーはインドネシアのバタンで東南アジア最大規模と言われる石炭火力発電事業プロジェクトを伊藤忠商事などと共同で進め、この事業には2016年6月に日本政府が100%出資する国際協力銀行(JBIC)が20億5200万ドル(約2234億円)の融資を決定。しかし、その一方で、〈建設反対派住民に対して逮捕や脅迫行為、灌漑用水の遮断など、さまざまな妨害が行われているとして住民から指摘〉され(東洋経済オンライン2016年4月4日付)、インドネシアの国家人権委員会が2015年12月に安倍首相と大島理森衆議院議長に対して人権尊重を求める書簡を送るなど、国際的な問題に発展していた。
つまり、辺野古と同様に市民による抗議運動が起き、人権侵害行為が問題化、石炭火力発電所の建設は難航していたのだが、そんななかでも安倍首相はやはり地元住民の訴えを一顧だにせず、この計画を後押しした。実際、2017年1月に安倍首相は複数の日本企業を引き連れインドネシアを訪問したが、このとき、Jパワーの北村会長も派遣団の一員として同行しているのだ。無論、和泉首相補佐官も一緒だ。
周知のとおり、気候変動対策が喫緊の課題となるなか、二酸化炭素排出量が多い石炭火力発電を自国のみならず他国に輸出し、その事業に多額の資金を投入しているとして日本政府は世界から厳しい批判にさらされている。だが、それだけではなく、インドネシアで人権侵害が指摘される事業を沖縄県民の民意に反したヘリパッド建設工事への協力の見返りとして後押しするということは、二重にも三重にも悪質であると言わざるを得ない。
この重大な便宜供与疑惑について問われた菅官房長官は、昨日の会見で「関係機関から必要な協力を得た上で、適切に工事を実施した」「結果として、16年12月にその(ヘリパッドの)移設が完了したことから、北部訓練場の約4000ヘクタール、全体の過半の返還が実現をした」などと開き直り、内部メモについては「承知していない」と無視。一方、和泉首相補佐官は沖縄タイムスの取材に対し、「ヘリパッド建設事業は防衛局所管。同局にお問い合わせください」と逃げた。
だが、安倍官邸が主導して沖縄を踏みつけにしたというこの事実は、「知らない」「防衛局に聞け」という無責任な回答で終わるような問題ではない。「桜を見る会」問題同様、年またぎで有耶無耶にさせず、当然、来年1月からの通常国会でも徹底した追及が必要だ。
(編集部)
最終更新:2019.12.25 08:34