内閣記者会懇談会で安倍首相が各社キャップに「ワイドショーはまだやるの? もういいんじゃないのか」
どうしてこんな話になってしまうのか、もはやため息をつくほかないが、何もこれは局所的な話でもないだろう。実際、安倍首相が説明から逃げつづける一方、一部の番組を除いては「桜を見る会」問題の追及が盛り下がっている印象だからだ。
そして、これは安倍官邸からの“恫喝”が効いている証拠だろう。本サイトでも以前、紹介したように、安倍首相の11月20日の首相動静を見てみると、こう記載されている。
〈午後6時34分、官邸発。同39分、東京・平河町の都道府県会館着。同所内の中国料理店「上海大飯店」で内閣記者会加盟報道各社のキャップと懇談。〉
安倍首相は公の場での会見も開いていないというのに、そんなタイミングで記者クラブの各社キャップが揃って安倍首相を囲んで懇談をおこなう──。しかも、本日発売の「週刊新潮」(新潮社)によると、この懇談会は開催2日前に急に設定されたという。無論、目的は「桜を見る会」報道に釘を刺すことだ。実際、この場で安倍首相と今井尚哉首相秘書官兼補佐官はキャップにこんなことを言ったのだという。
安倍首相「この問題、ワイドショーはまだやるのかな? 昭恵のことももうやったし、後援会の話も出たからもういいんじゃないのかね」
今井秘書官「NHKの報道はひどい。だから同時配信はだめだと言われる。1万1000円以上じゃなきゃ出来ないとホテルが言ったのを最初に報じたのもNHK。総理番が毎日細かいことを質問する。細かいことまで総理が分かるわけがないのに、袈裟懸けみたいに質問する。あれ、キャップが聞かせているの?」
「ワイドショーはもういいんじゃないか」「NHKの報道はひどい」「キャップが聞かせているのか」。これらの発言は報道の現場に介入しようとする、完全な“恫喝”ではないか。この懇談を蹴ったのは毎日新聞だけだったというが、参加した他の社は──とくにNHKは──直接言及されて震え上がったのではないか。いや、これは酷い擁護報道をした『スッキリ』の日本テレビもそうだろう。日テレは安倍事務所の「桜を見る会」ツアー資料を最初にすっぱ抜いたからだ。
安倍首相が国会の集中審議から逃げ、メディアが懐柔されれば、これまでの数々の問題と同様、「桜を見る会」問題も誰も責任をとらないまま、有耶無耶になってしまう。そして、税金の私物化や都合の悪い文書は廃棄されるといった根本的な問題は解決されず、むしろ国民がそれを許したことにしてしまうだろう。
(編集部)
最終更新:2019.11.28 11:04