ホテルニューオータニでの安倍首相夫妻主催の晩餐会(首相官邸HPより)
嘘に嘘を重ね、その結果、次々に新たな疑惑がふくらみつづけている「桜を見る会」問題。昨日21日におこなわれた参院内閣委員会では反社会的勢力や半グレ組織とみられる人物が出席していた問題も追及されたが、菅義偉官房長官は“知らぬ存ぜぬ”でしらばっくれた。
だが、こうした態度もどこまでつづくか。とくに公職選挙法や政治資金規正法違反、さらには贈収賄にあたるという指摘も出ている「前夜祭」問題では、また新たな証言が出てきた。
それは、昨日発売された「週刊文春」(文藝春秋)の特集記事に掲載された、「前夜祭」参加者による証言だ。
この「週刊文春」は8ページにもわたって「桜を見る会」問題を大特集しているのだが、そのなかで「前夜祭」に参加した人から、こんな証言を得ているのだ。
「当日、招待状も何も持たずに行ったが、『山口出身で親が後援者だ』と言ったら入れた」
安倍首相の主張は“安倍事務所の職員が受付で参加者から5000円を集金し、ホテル名義の領収書を手交。受付終了後に集金した現金をホテル側に支払った”というものだったが、この証言のとおり、招待状もなく入れたり、逆に招待状を持っていても欠席する人が出るようなユルい宴会だったとしたら、ホテル側は一体いくらの収入があるか、最後までわからないということになる。そんな博打みたいな発注を受けたとは到底考えられない。
だが、「週刊文春」の追及はこれで終わらなかった。「週刊文春」は「前夜祭」問題を、ニューオータニの代表取締役常務であり東京総支配人の清水肇氏に直撃してぶつけているのだ。
本サイトでも既報のとおり、清水氏のFacebookでは安倍首相、そして夫人の昭恵氏の両方と「友達」となっており、安倍夫妻との関係が疑われていた人物。しかも、清水氏はFB で、安倍首相の“ビッグサポーター”として知られるアパグループの元谷外志雄代表の私塾「勝兵塾」に「いいね」をしていたり、元谷芙美子アパホテル社長とカラオケを楽しむ様子が投稿されており、人脈や思想が安倍首相と近いことがうかがえる。
そして、「週刊文春」の直撃を受けた清水氏は、安倍首相との関係について「(FBは)こちらが一方的に友達になっているだけです」「ゴルフや飲食もともにしたことはないですし」と否定しつつも、一方でやはり安倍首相をかばいつづけたのだ。
「安倍さんが説明された通りです。五千円が安いと言われても、うちがそれで引き受けているんだから」
「(報道された最低価格)一万一千円というのは、単なるベンチマーク。こちらだって商売なんだから、予算に応じて検討しますよ」
本サイトがニューオータニに問い合わせした際には、「最低でも1万1000円」とはっきりと言い、「5000円でお願いできると聞いたのですが」と訊くと「そのようなプランはございません」と断言。NHKの取材に対しても「値切り交渉などには応じられない」と答えていた。しかし清水氏は、安倍首相には「5000円で引き受けた」「商売だから予算に応じて検討する」と言うのである。
一般人の値切り交渉は拒絶する一方で、安倍首相には融通する……。皆が薄々はそうした優遇はあるかもしれないと感じながらも、ここまではっきりと明言されると、ニューオータニのブランドイメージを総支配人自ら傷つけているようなものだが、しかし、目を疑ったのは、こんな一言だ。
それは、縁が深かったという安倍首相の祖父・岸信介とニューオータニの初代社長である大谷米太郎氏の関係を記者が挙げた上で、「現首相と御社も関係が深いのか」と質問したときだ。清水氏はこの質問に、こう答えたのである。
「それは知らなかったが、このあいだの晩餐会(即位の礼の翌日、十月二十三日に行われた首相夫妻主催の会)もやっていただいた。総理といえば天皇の次くらいの人ですから、使ってもらえるのはありがたいですよ」
安倍首相は天皇の次くらいの人──。まるで安倍首相に心酔し崇め奉る極右安倍応援団のような発言だが、清水氏のこの言葉は、下々の者は「最低でも1万1000円」で、「天皇の次くらいの」安倍首相は1人5000円でも使ってもらえるだけでもありがたい、そういう意味に受け取れる。