安倍首相がPRで練り歩いた戸越銀座商店街でもポイント還元の登録は20.7%
しかも、このポイント還元は、高い買い物をすればそれだけポイントも多くなるため、軽減税率と同様に富裕層や高所得者層ほど得をし、クレジットカードをつくれない低所得者やクレジットカードを持たない人の割合が高い高齢者は恩恵が受けられない不公平な制度だ。実際、民間企業のCriteoが先月29日に発表した調査結果によると、ポイント還元の利用状況は年収1000万円以上が56%にものぼった一方、年収400万円未満は37%にとどまり、〈年収が低いほど利用が少ない傾向がみられた〉という(通販通信10月30日付)。
その上、10月11日の衆院予算委員会では、安倍首相が今年2月にキャッシュレスPRのために練り歩いた戸越銀座商店街でさえ、ポイント還元対象外の金融・医療機関を除いた270店舗中ポイント還元の登録は56店舗にすぎず、じつに20.7%しか参加していないことを共産党の宮本徹議員が指摘。都内の多くの商店街も1〜2割の参加となっており、大阪の天神橋筋商店街でも1割強だったという。つまり、庶民が日常的に利用する中小店舗ではほとんど恩恵が受けられないということだ。
本サイトでは何度も指摘してきたように、消費税は低所得者であるほど負担が重くなる逆進性がある。日本生活協同組合連合会の調査(2017年「消費税しらべ」)によると、年収1000万円以上世帯の消費税負担額が収入に占める割合は2.80%だったのに対し、年収400万円未満の世帯は5.72%。低所得者のほうが約2倍も負担率が高くなっているのだ。にもかかわらず、安倍首相が増税と合わせて打った低所得者対策はほとんど利用されずに効果を発揮せず、所得が少ないほど利用率が低い、富裕層・高所得者ほど得をするというポイント還元に追加で税金が投入される可能性まで出てきたのである。
つまり、増税によって格差がさらに広げられていることが、増税開始1カ月ですでに浮き彫りになりつつあるのだ。
しかも、許しがたいのは、「社会保障の充実」のために国民に痛みを強いながら、増税後も安倍政権は社会保障を削る施策ばかり打ち出していることだろう。