安倍首相の“トウモロコシ爆買い”を批判しないメディア
しかも、問題は“余ったトウモロコシ爆買い”だ。日本政府はこのトウモロコシ爆買いについて、〈国内のトウモロコシは一部で害虫被害が確認され、飼料用の供給に懸念が出ている。このため、米国産を3カ月分、前倒しで輸入することになった〉(朝日新聞デジタル26日付)ともっともらしく説明しているが、今朝の東京新聞によると〈食害はごく一部で発生が確認されているだけ〉で、農水省も「現時点では通常の営農活動に支障はない」(植物防疫課)と回答している。だというのに、テレビの報道ではこの“余ったトウモロコシ爆買い”問題にほとんど突っ込んでいない。
ようするに、メディアは安倍首相の「ウィンウィン」発言に押されるだけで、国益があっさり売り渡されたことへの批判もせず、一方で韓国バッシングに精を出している。この状況にもっとも満足しているのは、安倍首相だ。なにせ、メディアの連日の韓国叩きのおかげで内閣支持率はアップ。その上、外交の大失敗に批判が上がることもない。つまり、韓国叩きでもって、国益のトランプへの売り渡しという失敗を紛らわせることに成功しているのである。
その上、注意しなければならないのは、日米貿易交渉はその協定内容がまだ公表されていない、ということだ。今後、トランプ大統領が日本に揺さぶりをかける可能性もゼロではないし、さらに〈TPPの発動基準数量を見直さないまま日米協定が発効すると、低関税で輸入される牛肉の総量が発動基準数量を超えても、オーストラリアなどにはSG(セーフガード=緊急輸入制限措置)が発動されず、国内にTPP以上の影響が出る恐れがある〉(日本農業新聞27日付)という。
国民を平気で裏切る総理と、大本営発表を垂れ流して隣国叩きで数字を稼ぐだけのメディア──。国益がトランプに売り渡されても、この国は当然の批判もせず、黙ってそれを粛々と受け入れるつもりなのだろうか。
(編集部)
最終更新:2019.08.27 02:24