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「最低賃金901円」を評価し「月給23万円への不満」を攻撃する世論の異常! 安倍政権に飼いならされ貧困が当たり前に

「最低賃金901円」を評価し「月給23万円への不満」を攻撃する世論の異常! 安倍政権に飼いならされ貧困が当たり前にの画像1
首相官邸HPより


「最低賃金、東京・神奈川1000円超え」……7月31日、中央最低賃金審議会の小委員会は2019年度の全国最低賃金の目安を27円引き上げ、時給901円にする方針を決定した。

 この結果について「2002年以降、最大の引き上げ」「最高額更新」などと評するメディアもあるが、自民党が参院選の公約で掲げた「年率3%をめどに引き上げ」はクリアしたものの、「全国平均1000円」にはほど遠い。だいたい、最低賃金がもっとも低い鹿児島県では26円引き上げの787円となったが、この時給は1日8時間・22日働いても月収13万8512円、年収にして166万2144円にしかならないものだ。これで生活しろというのはどうかしていると言うほかないだろう。

 これは全国平均の901円にしても同様で、1日8時間・22日働いた場合で月収15万8576円、年収190万2912円でしかない。つまり、全国平均でもいわゆるワーキングプアの水準なのだ。

 10月からは消費税が10%に引き上げられ、生活はさらに苦しくなるというのに、この最低賃金で国は「老後のために自助で2000万円貯蓄しろ」とまで言う……。「国民を殺す気か」と政治に怒りをぶつけたくなるが、しかし、ネット上では逆の現象が起こった。

 というのも、この最低賃金の問題を31日放送の『news zero』(日本テレビ)が取り上げ、以前から長時間労働などの問題が取り沙汰されている飲料自販機中堅企業・大蔵屋商事に務める男性の例が紹介されたのだが、生活が困窮していることを訴えるこの男性が、時給換算すると東京都の最低賃金水準である「手取り23万円」であることや、1カ月の収支で「食費4万円」「通信費2万円」などになっていることに対し、SNS上ではこんな意見が噴出したのだ。

〈手取り23万貰って文句言ってんじゃねえよ〉
〈手取り23万でやっていけないだと??喧嘩売ってるのかこのニュースは…〉
〈えっ、手取り23万で通信費2万?????どういうこと?????〉
〈手取り23万貰えてたら普通に自炊して暮らせるだろうに 交際費3万とか携帯代に2万使ってるあたりおかしい〉
〈資格取るなり、仕事頑張って賃金上げてもらえる努力しろ、あと一人暮らしで食費40000円は使いすぎや自炊せえ〉

 挙げ出せばキリがないほど、このように「手取り23万円で文句を言うな」「給料に見合った生活をしろ」という意見が溢れかえり、ついには「手取り23万」「食費4万」などの言葉がトレンド入りしたのだった。

「こんな最低賃金で生活できるか!」「最低賃金は上げないと結婚もできないよ」という声があがるかと思いきや、逆に自助努力が叫ばれる──。言っておくが、この男性は長時間労働に晒され、しかも残業代は未払いで、昨年のある月の給料は時給に換算すると最低賃金以下だったという違法な働かせ方を強いられている人だ。だが、そういう問題よりも、「食費4万円は使いすぎ」と責められてしまうのである。

 これは、母子家庭の女子高生が経済的な理由で進学を諦めた例をNHKが紹介したところ、「貧困だと言うならアニメのグッズを買うな」「生活が苦しいのに1000円のランチなんか食べるな」などと批判が巻き起こった「貧困女子高生バッシング」によく似た現象とも言えるが、今回、あらためて浮き彫りになったのは、いかに多くの人が“最低賃金以下の生活”を送っているか、ということだろう。

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