政権のお友だち優遇 や官民ファンドの大損失には「税金泥棒」と言わないホリエモン
しかし、堀江はそうした当たり前の訴えがまったく理解できないのである。実は、この頭の悪さは、冒頭で紹介した「生産効率の悪い人間は働かないほうがいい」発言のときも感じられたことだ。弱者差別以前に、環境や機会で人間が変化する可能性、さらには実存の影響を一切考慮せずに、生産効率で二分できると本気で考えているなんて、いくらなんでも頭が悪すぎだろう。
ようするに、ホリエモンという人間は世界の複雑さを受け入れられずに、ものごとを単純化しないと理解できないし、説明できないのだ。そして、その単純化した図式を勝手に信じ込んで、他人に押し付ける。その際、「経済効率」だのなんだのというリバタリアン経営者的言葉をふりまくのは、それ以外に教養がなく、他に語彙をもっていないからだ。
もちろん、堀江がいくら“単純バカ”でも、信者相手に中身スカスカのネオリベ自己啓発本を売り、オンラインサロンビジネスでセコセコ稼いでいるだけなら、目くじらをたてるつもりはない。
しかし、この男、前述してきたように、バカで知識がないくせにやたら上から目線で、社会問題に関する言論を萎縮させるような抑圧ばかり口にするのだ。とくに、安倍政権以降は、政府の政策や横暴を批判する人たちに攻撃を加える一方で、政府や権力のことはほとんど批判しない(自分を逮捕した検察は除く)。
たとえば、今回のことでも「税金泥棒」と呼ぶべきは、甘い見通しで巨額の損失を出しまくっている官民ファンドや、国有地をタダ同然に値引きしたり、総理のお友だちだからと優遇されて必要性はないと専門家が指摘する分野の新学部をつくるために巨額の税金が使われた、森友加計学園問題のような事案のことだ。だが、そうした国策の大失敗や不当な税金投入には、堀江は文句を言わない。むしろ、辺野古新基地建設にともなう土砂投入にローラが意見した際には「(ローラが)あの発言をすることによって、あの問題は膠着する」と言い放ち、工事を進めることの正当な理由はひとつも挙げずに「辺野古は埋め立てたほうがいいと思っている派です」と主張するなど、政府の方針には唯々諾々と従い、批判者を攻撃するのである。
まあ、それも当然なのだろう。というのも、堀江自身も、安倍政権下で自分のかかわる事業で国と事業委託契約を結んでいるからだ。
堀江はロケット開発を手掛ける「インターステラテクノロジズ」なる企業を2013年に立ち上げたが、じつは同社は経産省の「宇宙産業技術情報基盤整備研究開発事業」に公募に応募し、2015年度〜2020年度の計6年間の委託先として決定している。 ようするに、既得権益者が、政権を批判する者やデモを“税金泥棒”と叩いているのだ。これはどう考えても、社会に害をなす行為でしかない。
バカなうえに害悪──。堀江は「馬鹿デモは害悪」と罵っていたが、ここまできたら、もうわかってもらえたはずだ。それはまさに堀江自身のことなのである。
(編集部)
最終更新:2019.06.22 12:57