本の元ネタは運営者情報も書いていない謎のサイト、検索に引っかからないタグが
というのも、先に触れたように、同書の最後には〈テラスプレス 報道では見えない事実に光を〉というサイト名とともに、インターネットで「テラス PRESS」と検索するように記されている。ところが、実際に検索エンジンにかけても、そのサイトがまったくヒットしないのだ。
いったいどういうことなのか。しようがないので本に記載のあったURLを直接入力すると、実際に「terracePRESS」なるサイトが現れた。サイト自体は2018年の7月から記事の公開を始めた形跡があり、当初は一週間に2、3本、最近ではほぼ毎日更新されている。一見、どこにでもありそうなニュースサイトだった。
が、奇妙なのは、ニュースサイトなら常識的にサイト内に掲載されているはずのものが、どこを探しても見当たらないこと。そう、このサイトには、あるべき運営者情報や問い合わせ用のフォームが存在しないのである。いや、それだけではない。サイトのソースを調べてみると、なんと、意図的にgoogleの検索に引っかからないようにするタグが埋め込まれていたのだ。これはどう考えても不可解だろう。
念のため説明しておくと、本サイトも含め、ニュースや報道を扱うメディアは普通、検索エンジンへ最適化(SEO対策)し、SNSで拡散されることを前提に設計される。ところが、この「terracePRESS」なる“右派政治ニュースサイト”は、そういう当たり前のノウハウとは真逆のことをやっているのである。
実際、公式ツイッターらしきアカウントを調べてみると、経済評論家の上念司氏やYouTuberのKAZUYA、あるいは有名ネトウヨアカウントの「DAPPI」など、その手のネトウヨ界隈をフォローしている一方、本来は読者となるはずのフォロワー数はわずか30名余り。ツイート内容も、公開した記事を機械的に投稿しているだけに見える。
これでは、あえてネット上で見つからないように運営しているとしか思えないだろう。
しかも、「terracePRESS」のサイト内をくまなく探しても、収入源となるはずのウェブ広告の類いが一切ない。つまり、潤沢な資金を持つ何者かが、配信記事が一般には拡散されないことを承知で運営費をつぎ込んでいるとしか思えない。だとすれば、考えられる可能性は、やはり、同サイトの本を所属議員に配布した自民党の関係者がこのサイトの運営に関与し、身内だけで、密かに“野党叩きの作戦指南サイト”として利用している。そういうことではないのか。