頼みの綱の「外需」がトランプ政権の圧力でなくなり、日本経済は完全破綻
その上、2014年の消費増税時は「外需の伸び」という幸運があったが、これは「アメリカ経済の好況」と「安い原油価格」があってのこと。ご存じのとおり、トランプ大統領は先日、安倍首相に日本の農産物関税の撤廃を要求したほか、自動車の追加関税をちらつかせており、原油価格も上昇。つまり、〈2019年増税の外需環境は、2014年増税よりも、より深刻な被害をもたらした1997年増税時のそれに類似している〉のである。
藤井氏は世界各国の経済成長率(1995〜2015年)に目を向け、〈日本の20年間成長率は断トツの最下位〉〈日本の成長率だけが「マイナス」の水準〉であるとし、〈日本はもはや、「経済大国」でないばかりか、「先進国」ですらない〉〈先進国でも発展途上国でもない、世界唯一の「衰退途上国」とでも言わざるを得ない〉と明言。こうした元凶が、バブル崩壊後の1997年に実施した消費税の3%から5%への引き上げによって「デフレ不況」に突入したためだと説明している。その再来のような危機的状況を迎えつつあるのに、そこで消費税を増税すれば、一体どうなるのか。藤井氏は〈確実に破壊的ダメージがもたらされる〉と警告を発するが、もはや増税中止どころではなく減税すべき局面にあると言っていいだろう。
本サイトでお伝えしてきたように、今月20日に発表される四半期別のGDP速報値でもマイナスになると見られている。その結果を受けて、参院選を睨んで安倍首相が増税見送りに踏み切るか、その動向に注目が集まっているが、増税見送りなど当然のことであって、むしろ問題は、あきらかな「アベノミクスの失敗」のほうだ。
安倍首相はつい先日も民主党政権時代を「悪夢」と呼んだが、アベノミクスがほんとうに誇れる結果を出しているならば、そんな昔の話をいつまでも持ち出すわけがない。実際、民主党政権時代の実質賃金の平均賃上げ率が2.59%であるのに対して、第二次安倍政権での平均賃上げ率はわずか1.1%にすぎない。
また、暮らしぶりが良くなっているのかどうか、現に5月11・12日におこなったJNN世論調査では景気回復について「実感がある」と答えた人はたったの9%で、「実感がない」と答えた人は87%にものぼった。ようするに、「悪夢」と呼ぶべきは、景気は回復などしておらず、むしろ「悪化」しているのに「緩やかに回復している」などと現実を無視して喧伝する安倍政権のほうなのだ。
大企業や富裕層を優遇する一方でここまで庶民の生活を悪化させたその責任をしっかり取らせなければ、ほんとうの「悪夢」が、これからはじまるだろう。
(編集部)
最終更新:2019.05.14 10:34