官邸の圧力文書を「目くじら立てるものじゃない」、田崎はそれでも元記者か
質問内容がトンチンカンも何も、さっきも述べたようにこのときの望月記者の質問内容には間違いもないし、要点を押さえた簡潔なものだった。しかし、田崎氏は「望月記者はいつもトンチンカンなことばかり質問している」かのように印象付けたのである。
また、田崎氏は、望月記者のことをこうも評した。
「記者本人のあり様として、ちょっと記者本人が目立ちすぎるなって感じがするんですね。僕らは訊き質すが仕事ですから、やっぱ相手から訊き出さなければならないときに、自分が目立っちゃうというのはどうかな、と」
望月記者が会見のなかで“目立つ”のは、まわりの記者とは違い物怖じすることなくストレートにズバズバと政権の問題に切り込むからで、むしろ問題なのは、望月記者が浮いてしまうくらい官房長官会見が“空気を読む場”になってしまっていることのほうだ。そもそも、安倍首相の“スポークスマン”となっている田崎氏が「僕らは訊き質すが仕事ですから」とは……。
だが、「訊き質すが仕事」と胸を張る一方、田崎氏は唖然とするようなことも口にした。問題の発端となった官邸が出した申し入れ書について、内閣記者会が「事実上無視している」点や、いまも望月記者が会見に出席している点を挙げて、「だから、目くじら立てるほどの文書か、とも思いますよ。はい」と述べたのだ。
言っておくが、田崎氏は曲がりなりにも時事通信社で政治記者を経験した人物である。そして、官邸が出した申し入れ書は、事実上“望月記者に質問させるな”“あいつをどうにかしろ”と官邸記者クラブに圧力をかける内容だった。つまり、都合の悪い質問をする記者は許さないという官邸からの恫喝にほかならないのに、それを「訊き質すが仕事」と自認する元記者が、「目くじら立てるほどのものじゃない」などと言ってのけたのである。