デマの背景に安倍政権への忖度と“物を言う女性”を標的にした女性蔑視
なぜ、こんな杜撰なことになっているのか。マスコミがフィフィや屋山太郎氏のデマをそのまま垂れ流してしまった背景のほうを、よく考えなくてはならない。
ひとつの共通点は、フィフィにしても屋山氏にしても、親政権的な発言が目立つ保守界隈の言論人だということだ。周知の通り現在、テレビや新聞・週刊誌等のマスコミでは安倍政権を擁護・賞賛する文化人やコメンテーターばかりが幅をきかせている。ときたま政権批判的な言論が出てくると、たとえばテレビではMCが必死にフォローしたり、別のコメンテーターが政権擁護を加えて“両論併記”的に進行させるのが常だ。
ところが逆に、安倍応援団らが政権に批判的な野党やリベラルな言論に対してバッシングをしかけても、反対意見や別の角度からの意見が語られることなど滅多にない。つまるところ、権力批判の言説には安倍政権を忖度し、過剰なまでに神経を使ってチェックあるいは自重するのに、“政権批判叩き”は何でもありのダダ漏れ状態になっているというわけだ。こうした状況を考えると、今回のフィフィのような“野党バッシングのケース”だと、連中にとって、その中身が事実であるかどうかなんて関係ないのだろう。
また、デマ攻撃の対象にされたのが、リベラル系(とみられている)“女性”という点も偶然ではないだろう。たとえば蓮舫議員は(本人は「バリバリの保守」を自称しているが)、周知の通り、立憲民主の辻元清美議員と並んでネトウヨや安倍応援団からバッシングのターゲットにされがちな女性政治家だ。実際、屋山氏から「妹が北朝鮮に生存」なるデマを飛ばされた福島瑞穂議員や、東京新聞の望月衣塑子記者、精神科医の香山リカ氏、女優の水原希子、タレントのローラなどがネトウヨ・右派論壇から標的にされている。「物を言う女性」が気に食わないという女性蔑視、ミソジニーが背景にあるのではないか。
いずれにしても、今回のフィフィによるデマ発言を、単なるミスとして片付けるわけにはいかないだろう。政権から睨まれる恐れのない“政権批判叩き”“リベラル叩き”言論ならば、どれだけとんでもなデマであっても、マスコミはろくすっぽチェックせず垂れ流す。その現実の歪さをあらためて認識する必要がある。
(編集部)
最終更新:2019.02.19 01:47