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横田一「ニッポン抑圧と腐敗の現場」49

玉城デニー沖縄県知事が訪米で訴えたこと! NYでは「民主主義を沖縄に」と講演、米国務省には辺野古の欠陥を指摘

玉城知事の説明で米国務省がはじめて辺野古の軟弱地盤を知った可能性も

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囲み取材に応じる玉城沖縄県知事(撮影・横田一)

 しかし玉城知事は意気消沈するどころか、逆に闘争心をみなぎらせていた。「寒さには寒さ対策が必要」「凍えているだけではいけない。体を動かして温かくしましょう」と言いながら、記者団に次のような協力要請もしたのだ。

「(国務省での面談で)私は、沖縄における民主主義の崩壊に向かう状況を説明しました。その上で、そういう声明を出してくることは、まだ沖縄の認識を受取っていない。私たちは一喜一憂せず、常に沖縄の立場を説明していきます。メディアの皆様には『沖縄県がどういう思いで今回訪米したのか』の核心的な部分を発信していただければと思います」

 また玉城知事はアメリカ政府の担当者に対して「『辺野古が唯一』と言っている限り、デッドロック(行き詰まり)だ」と警告する強烈な“パンチ”も放っていた。建設予定地の軟弱地盤問題について、次のように説明したのだ。

「国務省と国防総省(との面談)では、私が説明をして『これから先、(軟弱地盤を強化するための)地盤改良などがあった時は知事の許可を求めないといけない。そうすると、その許可を出すのは知事自身なので、この工事にはまだまだ完成までに時間がかかることは十分に予測される』と言っておいたが、それらについて国務省や国防総省からはコメントはなかった」

 次のような悪夢の近未来図を玉城知事は示したともいえる。
1)マヨネーズにも例えられる軟弱地盤上に土砂投入をしても地盤沈下や液状化が起きる”欠陥基地”にしかならない可能性が高い。
2)米軍の使用に耐えうるようにするには新たな地盤改良(強化)が不可欠だが、現行計画からの設計変更を伴うので知事の許可が必要(玉城知事は不許可の方針)。
3)「辺野古が唯一」という方針を撤回、沖縄県と日米両政府が対話をして新基地建設を中止した上で代替案の模索をしない限り、「莫大な予算(日本国民の血税)を投じて美しい海を破壊した挙句、普天間代替施設として機能しない埋立地を作る」という工事のための工事を続けることになる。

 面談直後には安倍政権の常套句を返した国務省だが、玉城知事の直訴がボディブローのように効いていても不思議ではない。沖縄の地元記者は「アメリカ政府内に『本当に日本政府の言っていることは大丈夫なのか』といった疑問が芽生えた可能性がある。今まで日本政府が軟弱地盤問題についてアメリカ側にきちんと説明をした形跡は全くないため、今回、玉城知事から初めて事の深刻さを知らされたのではないか」と語っている。

 すでに防衛省は現地で地盤調査をしているため、想定以上の軟弱地盤であることに気がついているのは間違いないが、名護市議会で何度も軟弱地盤問題について質問をした東恩納琢磨・名護市議も「米軍やアメリカ政府の関係者に日本政府が軟弱地盤問題について正確に伝えているのかは疑問」と強調。そして「恐らくアメリカ政府に軟弱地盤問題を初めて説明したという点で、今回の訪米は非常に意味があったと思います」と高く評価していた。

 日米両政府を日米の野党が連携して追及する態勢作りにも、玉城知事は着手することができた。同日午後に民主党のメイジー・ヒロノ上院議員とデイビッド・プライス下院議員とも面談した玉城知事は、プライス下院議員から「議会対策で協力する」と声をかけられたというのだ。米国議会で辺野古問題を取り上げられる可能性が出てきたということだ。

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