ペンス副大統領はtwitterで「安倍首相とFTA交渉について議論する」と
安倍首相はこれまで、トランプ大統領と合意した新たな貿易協定を、物品の関税引き下げに限定した「TAG」だとし、10月29日におこなわれた衆院本会議の代表質問でも「サービス全般の自由化や幅広いルールまで盛り込むことは想定しておらず、その意味で、これまで我が国が結んできた包括的なFTAとは異なるもの」と説明した。
だが、ペンス副大統領はこの記者発表で「サービスの障壁」を問題視し、貿易協定も「サービス分野を含む」と明言。ようするに、安倍首相が言う“サービスは盛り込んだ包括的なFTAとは違う”という説明の嘘を、安倍首相本人の前でペンス副大統領が証明してみせたのだ。無論、ペンス副大統領は「TAG」と一言も発していない。
事実、この記者発表を伝えた米・ロイターの記事も「Vice President Pence pushes Japan for bilateral free trade agreement」(ペンス副大統領が日本に二国間のFTAを要求)と見出しを立てている。
いや、それどころか、ペンス副大統領は東京に到着した12日、自身のTwitterに安倍首相と会談することを報告した際、議論する中身について安倍首相に宛てて〈negotiations for a free-trade agreement〉と記述。「FTA」だと宣言しているのである。
「FTA」だと副大統領が直々に述べているのに、「(会見では)FTAと言っていない!」とNHKに怒り狂う安倍官邸……。しかも、情けないのはNHKで、『ニュース7』と『ニュースウオッチ9』では、「TAG」ペンス副大統領の「サービスが障壁」「サービス分野を含む」という発言は一切取り上げなかったのだ。
「TAG」なる言葉は何の実態もない、国民を騙すための「言い換え語」であることがはっきりしたというのに、安倍官邸が「違う!」と喚き散らせば、それにNHKが従い、大本営発表を垂れ流す。もはや「FTAの言葉狩り」というべき状況だが、そもそも、実態は「FTA」でしかないこの貿易協定を、言葉でごまかそうとした張本人は、安倍首相なのである。