安倍政権の極右教育政策を推進、前川氏授業圧力事件にも関与
「藤原氏は官邸ベッタリで、なかでも和泉首相秘書官の手下のように動いてきた人物。藤原氏は2016年に天下り問題で減給処分を受けているが、翌年の人事では過去に就いたことのある官房長に出戻るという異例の処遇がおこなわれた。このときも、官邸が加計問題の対応のためにパイプ役として官房長に戻したのではないかといわれていた。だいたい、本来ならば、藤原氏より入省が1年早い小松親次郎・審議官(初等中等教育局長事務取扱に異動)が事務次官になるのが順当だったが、小松氏は藤原氏とは対照的に官邸と距離を取ってきた。小松氏でなく藤原氏のほうを事務次官に引き上げたのは、官邸の強い意向がはたらいた結果でしょう」
官邸のイエスマンを事務次官に昇格させることで、文科省を掌握する──。その目的には、もちろん加計問題での引き締めもあるが、それ以上に大きいのは、安倍首相が力を入れる教育の国家主義化、愛国主義化の強化だ。
そして、藤原事務次官は、安倍政権による教育の右傾化を官邸の意に沿って粛々と押し進めてきた人物でもある。
たとえば、昨年3月、小学校1年生の道徳教科書の検定において、文科省が「扱いが不適切」「指導要領にある『我が国や郷土の文化と生活に親しみ、愛着をもつ』という点が足りない」などと修正指示を出した結果、「パン屋」を「和菓子屋」などに差し替えていたこと発覚したが、この所管は初等中等教育局であり、藤原氏が同局長を務めていた間の出来事だ。
また、今年3月、前川・元次官の授業に自民党の赤池誠章議員らが圧力をかけた一件でも、赤池議員らから指示され、名古屋市教育委員会に恫喝質問状を送るなど対応したのも、当時官房長だった藤原氏だ。
第4次安倍改造内閣で文科大臣に起用された柴山昌彦氏は、就任会見で、教育勅語について「普遍性をもっている部分が見て取れる」「(教育勅語の『同胞を大切に』の部分など)基本的な記載内容について現代的にアレンジして教えていこうと検討する動きがあると聞いており、検討に値する」などと発言、具体的に“教育勅語の復活”を唱えてみせた。──このような大臣の登用もさることながら、事務次官に藤原氏を抜擢したことは、軍国主義的イデオロギーや愛国心、歴史修正などを教育に反映させていこうという安倍首相の方針の表れでもあるはずだ。
藤原事務次官が「面従腹背をやめろ」と文科省職員に命じた言葉は、実際のところ、「政権・官邸の意向に服従しろ」と言っているにすぎない。この調子では、第2の加計問題がいつ起こっても不思議ではないが、安倍首相による“偏向教育”の動きにもさらなる注視が必要だろう。
(編集部)
最終更新:2018.10.19 12:34