NHKは現場の記者が必死で質問していたのに会見内容をほとんど放送せず
しかも、あまりに酷かったのがNHKだ。
会見では、NHKの記者も質問をし、厳しい追及をおこなっていた。たとえば、“首相官邸で面談がおこなわれたのは渡邉事務局長が柳瀬首相秘書官と面識・パイプがあったためだが、柳瀬氏といつどこで会ったのかを渡邉氏は覚えていない”と説明する加計学園側に対し、NHKの記者は「一学園事務局長が総理秘書官にいつどこで会ったのかを覚えていないというのはにわかに信じがたい」ときびしく追及。安倍首相と面談したとされる2015年2月25日に加計理事長は何をしていたのかを問い、「覚えておりませんですねえ」と答える加計理事長に、「明確に否定されるのであれば根拠を」「(記録も記憶もないのであれば)会っていないとも言えないわけですよね」と食い下がり、出張記録の提出を求めた結果、上田事務局長から「後ほど対応させていただく」という回答を引き出した。
このNHK記者の厳しい追及の模様は、『NEWS23』や『報ステ』でも放送されたのだが、しかし、NHKは会見が開かれた7日当日の18時と、翌8日の早朝6時の5分枠であるストレートニュースで短く伝えただけ。7日の『NHKニュース7』をはじめ、翌8日の『おはよう日本』や『NHKニュース7』『ニュースウオッチ9』で一切取り上げなかったのだ。
自局の記者が加計理事長の無責任な発言をいくつも引き出したにもかかわらず、それを放送せず、問題自体を報じない──政権批判を抑え込む体制に移った『報ステ』でさえトップニュースで伝えたというのに、公共放送であるNHKこそが、もっとも露骨な忖度を見せたのである。
加計学園をめぐる疑惑は、今回の加計理事長の会見でさらに疑いが深まり、今後、3度目の会見実施や国会へ招致、そして出張記録の提出に向け、加計問題再燃の流れができあがりつつある。今後、加計理事長の嘘を証明する決定的な証拠が出てくる可能性もある。
しかし、報道するのが『NEWS23』と『報道ステーション』だけというマスコミの体たらくをみていると、本当に安倍首相を追い詰められるとはとても思えない。マスコミは自分たちの報道の自由を取り戻すためにも、もう一度勇気を振り絞るべきではないか。
(編集部)
最終更新:2018.10.09 06:59