国有地格安売却は「裁判員制度を守るためだった」という驚愕の展開が
さらに、裁判官の「京都府の裁判員裁判の対策費用ってことですか?」という質問に対して、「そう言ってもいい予算が内閣官房機密費からでて、辰波福祉会に交付された補助金に化け、それが裁判所や検察庁に流されていたんです」と答える唯。そして、田金にこう迫るのだ。
「あなたは当時国有地の払い下げ認可がおりなくて困っていた辰波福祉会に目をつけ、補助金に化けさせた内閣官房機密費の中継地とするかわりに、払い下げ認可の口利きをした。それも8割引で」
つまり、裁判員制度導入に際し、多額の費用が必要となった。しかし、それは世論の反発を受ける。そこで、その費用を内閣官房機密費から捻出することにして、福祉法人の補助金をそのためのつなぎにした、そういうことらしい。
はっきり言って、ほとんどの視聴者は意味不明で頭がクラクラしたのではないか。話が専門的だからではない。あまりに荒唐無稽すぎるからだ。そもそも国の設備や人件費は財源を明かす必要があるから、官房機密費でまかなうことは不可能だ。百歩譲ってその部分は目を瞑るとしても、せっかく官房機密費から捻出することが決まったものを、わざわざ無関係な福祉法人への補助金に化けさせる、というのが意味がわからない。アシのつかない金をわざわざ顕在化させて、その後にどうやって、裁判員制度の費用に転用するのか。とにかく、何度、見返しても、話に整合性がなくて、めちゃくちゃなのである。
しかも、この荒唐無稽な種明かしは、ほとんど伏線らしい伏線もなく、突然、始まる。頭がクラクラするのは当然だろう。
さらに、驚いたのはその後の展開だった。元法務大臣の田金は法廷でこう告白したのである。
「我々はただ、日本のため当時批判ばかりだった裁判員制度をなんとか成功、いや失敗は許されないという重圧と闘っていたんだ」
「我々は今でも日本の正義のために闘っているんだ」
そして、田金は無罪になり、ワイドショーでは、こんな街の声が流される。
「裁判員制度を守るためのお金なんだったなら、最初から言えばいいのに」
「そういう税金の使い道なら、最初から正直に言えば怒ることもなかったのよ。嘘をつくから」
さらに唯までも「当時批判ばかりだった裁判員制度のために税金が大量に使われるとマスコミが騒いだら、裁判員制度は叩かれ、頓挫したかもしれない」などと、田金の法廷での主張に同意するようなことをつぶやく。