首相官邸ホームページより
本日2日、平昌五輪のフィギュアスケート男子で連覇を達成した羽生結弦選手の国民栄誉賞授与式が首相官邸で行われた。授与式で羽生選手は紋付き羽織袴姿で登場、それに対し安倍首相は「何を着ても似合いますね」などとその羽織袴姿を褒めると、羽生は「本当はもっともっと伝統ある所作をしないといけないかなとも思ったんですが」と、答えた。そして羽生選手に表彰状や盾を授与しながら微笑む安倍首相————。
本人たちは喜色満面だった。しかし、その背景にあるのは、グロテスクなとしか言いようのないものだ。本サイトでもなんども指摘したように、羽生選手への国民栄誉賞授与は明らかに、安倍首相による政治利用だからだ。
実際、羽生選手の国民栄誉賞には客観的な根拠というものがまったくない。平昌五輪では、スピードスケートの小平奈緒選手も金メダル、高木菜那選手は2つの金メダルを獲得するなどの活躍が続出しているし、連覇についても、オリンピック2連覇を成し遂げたアスリートは北島康介、内村航平、谷亮子など他にも何人もいる。これまで、オリンピック選手で国民栄誉賞を受賞したのは、3連覇の吉田沙保里選手、4連覇の伊調馨選手だけ。3連覇した柔道の野村忠宏選手ですら受賞していない。
しかし、安倍首相は羽生選手が国民的人気が高いという理由だけで、無理やり、国民栄誉賞を授与したのだ。
実は、安倍首相のこの国民栄誉賞授与の動き、政治利用については、あのマツコ・デラックスも「度が過ぎる」と批判を口にしていた。
発言があったのは3月5日放送の『バイキング』(フジテレビ)でのこと。特別ゲストとして同番組に出演したマツコは「羽生君がもらう、もらわないのとは、まったく関係ない話よ」と予防線をはりつつも、まず、こう語った。
「私が若かった頃に比べると、ちょっと国民栄誉賞の価値は下がったかなっていうのは、すごく感じる。だって、美空ひばりさんだって、お亡くなりになってからじゃないともらえなかったんだよ? それを、こんなに連発してしまって。とくに安倍さんは大好きだから、あげるの。ちょっと価値を下げちゃってない? 羽生君だから、伊調(馨)さんだからとか言ってるんじゃないよ。数が多すぎやしませんかっていうのは、前々から思っておりました」
そして、マツコは、羽生選手やスピードスケートの小平奈緒選手が金メダルを獲った直後、安倍首相がカメラを入れたうえで祝福の電話を入れたことを振り返って、こう喝破したのだ。
「今回、メダル獲った後の電話を、安倍さんのところにもカメラが入って、っていうのが何回かあったじゃない? あまりにも嬉しくて、思わず『ちょっと“おめでとう”言いたいから電話してくれ』って言ってならいいと思うんだけど、カメラ入ってるってことは、もう、『金を獲ったときには中継つなぐぞ』なわけじゃん? それはちょっと国民栄誉賞だけじゃなくて、スポーツの政治利用が過ぎてはないかなというのは感じるよね」
まさに正論だが、しかし、羽生選手にかんする安倍首相の政治利用はたんに「人気取り」と言うレベルではない。実は自身の「スキャンダル隠し」にも羽生選手の存在を使っていた。
本サイトでは、羽生選手の国民栄誉賞決定がはじめて報じられたとき、その内実を解説した記事を配信している。国民的人気を誇る金メダリストを私物化しようとする安倍政権の実態をぜひ、認識してほしい。
(編集部)