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またインチキ発覚!「高プロ」の必要性の根拠はでっち上げだった! たった“十数人”のヒアリングは企業の仕込み

わずか“十数人”のヒアリングは、企業側の仕込みだった

 スクープの核心は、聞き取り調査を担当した厚労省の労働基準局労働条件政策課が赤旗の取材に対して回答した内容にある。そもそも、厚労省はこの調査が、労働者から高プロの必要性を聞き取った「唯一の調査」と説明しているが、実は、問題の調査方法は、企業の意向だけが反映されるよう恣意的に仕組まれたものだったのだ。

 赤旗の取材に同課が答えたところによれば、厚労省は企業に対し「高プロについて労働者の意見を聞きたい」と依頼したうえで、同意を得た企業を厚労省の職員が訪問したという。

 驚くのはここからだ。厚労省の職員が訪問先の企業内の一室を借りて、労働者と高プロについて意見交換したというのだが、なんと、その聞き取り対象者は企業側が選んでおり、さらには調査の際、企業側の同席者がいたこともあったというのである。

 つまり、労働者から高プロの必要性を聞いたと言い張った政府答弁は、実際には、使用者側が全面的に協力して選んだ労働者にすぎず、しかも監視下において答えさせていたのである。まるで“ヤラセ”ではないか。

 これは、高プロの立法事実が根本から崩れたと言っていいだろう。ようは、政府は協力的な企業とグルになって、「導入に前向きな労働者の声」だけを恣意的に集めたのだ。しかも、繰り返しになるが、調査委対象はわずか12人である。裏を返せば、ここまで作為的な調査方法を用いてもなお、高プロを望む労働者の声がほとんど集まらなかった。そういうことではないのか。

 周知の通り、働き方改革法案のもうひとつの目玉であった「裁量労働制」を巡っても、厚労省は異常値が多数含まれた“捏造データ”を出してきて大きな問題になった。しかもそのデータは、高プロの創設を議論した厚労省の労働政策審議会で「議論の出発点」として提出されていたものでもあった。

 つまり、高プロもまた、当初から間違ったデータをもとに議論されてきたわけだが、ここにきて、政府が「導入に前向きな労働者の声」として示した調査も“でっち上げ”と呼ぶしかないシロモノであることが判明したのである。これで、労政審でいちから審議をやり直さないというのなら、もはやこの国は民主主義国家ではないだろう。

 何度でも言う。高プロの本質は“残業代ゼロ”“働かせ放題”である。なんとしても廃案にもっていかねばならないのは当然だが、捏造データやでっち上げ調査を用いて労働者を欺こうとしている安倍政権の責任も徹底追及されねばならない。

最終更新:2018.05.31 10:30

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