安倍応援団が一斉に語り始めた「良い独裁がある」論、官邸も発信?
「民主主義国家は、国民の考え方や選択によって決まります。それが民主主義の素晴らしさであると同時に、民主主義の怖さでもある。国民が愚かであれば国は亡び、国民が賢ければ国家が守られる。モリカケ騒動からいまだに脱しきれない日本の行く末が心配でなりません」
公文書改ざんは民主主義を根幹から揺るがす大問題という認識さえもち合わせず、“モリカケで騒ぐ国民は愚か”と言い放つ。……たしかに櫻井氏のような国民ばかりだとこの国が亡ぶことは間違いないだろう。
とまあ、こんな具合に、“物事を素早く決められる人物こそが真のリーダー”というこの国の悪い思考を煽るかたちで独裁を肯定し、「一流の政治家は安倍首相以外にいません」(田久保)と強調するのである。
それにしても、立てつづけに安倍応援団から飛び出した「独裁」肯定&待望論。岩田氏が「WiLL」を読んで「その手があったか!」と膝を叩き、NHKという公共放送でこのトンデモ論をアレンジした……という地獄のような“反知性の再生産”がおこなわれた線も考えられなくもないが、もっと可能性が高いのは、この「独裁」肯定論が「官邸主導」でおこなわれたのではないか?という疑いだ。
事実、森友・加計疑惑が顕著な例だが、「辻元清美に3つの疑惑がある」なる明白なデマや、加計では「挙証責任は文科省にある」といった責任転嫁の言説、さらには「モリカケは朝日新聞の陰謀」なる陰謀論まで、まるで示し合わせたかのように同じ主張が安倍応援団ジャーナリストならびに御用メディアから相次いで飛び出すということが起こった。
こうした主張は、じつは官邸から流されていたと見られており、実際、森友文書に記された「本件の特殊性」という文言をめぐって流布した「特殊性とは同和のこと」というデマにかんしては、今井尚哉首相秘書官が記者たちに「〈特殊性〉は人権問題に配慮して」と情報を発信していたことが報じられている。つまり、今回の「独裁」肯定&待望論も、官邸が安倍応援団ジャーナリストにレクチャーし、流させている。そういう可能性が考えられるのだ。
しかし、もしそうであったとすれば、「良い独裁もある」「民主主義より独裁」などというあり得ない情報を流させるしかないほど、安倍官邸は相当に追い詰められているとも言えるだろう。そして、そのうち田崎史郎氏あたりがワイドショーで独裁を肯定しはじめるかもしれないが、ぜひ視聴者には壮大にドン引きしていただき、安倍政権のヤバさを広めてもらいたいと願うばかりである。
(編集部)
最終更新:2018.05.10 02:16