自衛隊の関連組織「隊友会」が日本会議の改憲署名集めに協力!
安倍首相といえば、3年前に国会で自衛隊を「我が軍」と述べ、防衛大学校の卒業式でも「私の目であり耳」「最高指揮官たる内閣総理大臣の片腕」と呼びかけるなど、自衛隊私物化の意識が顕著だ。そして、繰り返しになるが「政府・自衛隊が進めようとしている方向とは違う」などの三佐の供述からは、自衛隊は「国民を守るための組織」という自覚よりも、むしろ「政府=安倍政権のための実力部隊」といわんばかりの姿勢が伝わってくる。
一方の小西議員は、野党議員というだけでなく、安倍政権による安保法制などを強く批判してきた政治家だ。だからこそ、今回の暴言事件は「シビリアンコントロールの欠如」とはある意味で逆に、安倍首相を幹部自衛官が追従した結果、その「政敵」を直接的に罵倒し、有権者を間接的に攻撃したという構図以外の何ものでもない。これは、政府(文民たる内閣総理大臣)が自衛隊を統治するという実務の関係を飛び超えて、自衛隊内に安倍政治を積極支援しようという空気が浸透しているということだろう。
実際、あらたに自衛隊の“安倍私兵化”を物語る事実が明らかになっている。自衛隊のOBや現役隊員らが参加する公益社団法人「隊友会」が、安倍首相が悲願とする憲法改正の賛同署名運動に関与していたことが発覚したのだ。
同会ホームページによると、隊友会は、退職した元自衛隊員や予備自衛官補ら約7万2千名の正会員を有すほか、賛助会員として在職中の自衛隊員約17万人が加入している(2017年3月31日現在)。市ヶ谷の防衛省の建物の内部に本部を置いている。
報道によれば、隊友会の支部「東京隊友会」は2015年5月、改憲を求める署名を呼びかけ、署名用紙のファクス送信先として、自衛隊機関である自衛隊東京地方協力本部などを指定していた。また、東京地本の会議室でも署名集めについて話し合いをしており、2018年度の事業計画にも〈憲法改正運動に積極的に協力〉とある。
さらにしんぶん赤旗によれば、隊友会が集めていた署名は、改憲推進団体「美しい日本の憲法をつくる国民の会」(以下「国民の会」)が始めた改憲賛同署名だという。「国民の会」といえば、日本会議が事実上取り仕切っているフロント組織だ。
「国民の会」が政治的な団体であることはいまさら言うまでもない。自衛隊法施行令は「政治的目的のために署名運動を企画し、主宰し、若しくは指導し、又はこれらの行為に積極的に参与すること」を禁止している。また、これを「公然又は内密に隊員以外の者と共同して行う場合」もしくは「自ら選んだ又は自己の管理に属する代理人、使用人その他の者を通じて間接に行う場合」も同様に禁じている。現職自衛官約17万人が加入する隊友会が、こうした改憲署名活動に協力していることは、自衛隊法に違反する可能性が高い。