小説、マンガ、ビジネス、週刊誌…本と雑誌のニュース/リテラ

menu

亡くなった絵本作家かこさとしは、安倍政権を「大本営の参謀の戦後版」と痛罵!多数決は民主主義じゃないとの警鐘も

多数決をしたらあとはすべて従えというのは本来の民主主義じゃない!

 また加古氏は先述した『こどものとうひょう おとなのせんきょ』という絵本で、たくさんの子どもたちが遊ぶ広場を舞台に、本当の民主主義とは多数決ではないということを描いているのだが、「現代思想」(青土社)2017年9月臨時増刊号に掲載された哲学者の國分功一郎氏との対談でも、「民主主義」というシステムが誤解されつつある現状に警鐘を鳴らしている。

 加古氏は、選挙で選ばれた為政者が少数派の意見をいっさい聞き入れず強権的な態度で議論を封殺しても、そのような横暴なやり方が「多数決」のお題目のもとで強行突破される状況に怒りの声をあげている。

「多数決を一度してしまえば、すべてを預けていいというのはいかがなものか。逆に賛意を表しないことや、多数とは違う意見のなかにも、汲み取るべきものがあるはずです。ですから、本来であれば民主主義は、多数決で選ばれたものが、少数の意見も汲み取って、いろいろな政策を決めていくということになろうかと思います。しかし実際に起こっているのは、一度多数を占めたら、あとは全部任せてよろしい、というありさまです。ぼくに言わせれば、それはまったく違うのだと思います」

 これは、特定秘密保護法、安保法制、共謀罪など、安倍政権のもとで幾度も繰り返されてきたことである。加古氏は同対談で「深入りして整理がつかなくなることを恐れて、多数決で何でも処理してしまえという話になっている。(中略)このままでは間違った方向に進んでしまいそうです。それがとても気がかりです」とも語っているが、実際、現在の日本はこの考え方のもとで、強い者がどこまでも強くなり、弱者が守られるどころか虐げられる社会になっている。

 多数派に属する者たちが「選挙で選ばれたのは俺たちだから議論なんて時間の無駄。お前らは黙って言うことを聞け。それが嫌なら次の選挙で見返してみろ」と主張する社会。それは「民主主義」とは呼ばない。

 野坂昭如氏、大橋巨泉氏、愛川欽也氏、菅原文太氏、金子兜太氏など、戦争を体験し、その経験をもとに強く平和を訴えてきた世代が次々と鬼籍に入りつつある。

 現在の権力者たちは、彼らが命がけで得た知見や反省を無きものにしようとしつつあるが、その先にあるのは70年以上前の悲劇の再来であることは火を見るよりも明らかだ。私たちは彼らの残してくれた警鐘を無にしてはならない。

最終更新:2018.05.08 12:24

関連記事

編集部おすすめ

話題の記事

人気記事ランキング

カテゴリ別に読む読みで探す

話題のキーワード

リテラをフォローする

フォローすると、タイムラインで
リテラの最新記事が確認できます。

プッシュ通知を受け取る 通知を有効にする 通知を停止する