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「女性専用車両は男性差別」と車両乗り込み運動をする男たち…痴漢犯罪の現実を無視した女性憎悪

痴漢被害にあっても約9割の女性が「泣き寝入り」する現実

 まず、「痴漢対策と称して、男性対策をするのは大反対」というが、繰り返すが、痴漢被害者は圧倒的に女性であり、痴漢犯罪の半分以上が電車内で発生している。さらに、警視庁が2011年に公表した「電車内の痴漢防止に係る研究会の報告書」によると、2009年に電車内で起こった「強制わいせつの認知件数」は340件、「迷惑防止条例違反のうち痴漢行為の検挙件数(電車内以外を含む)」は3880件にものぼる。しかし、これは氷山の一角に過ぎない。同報告書のネット調査では、「過去1年間に電車内で痴漢被害に遭った」と回答した女性304人のうち、「痴漢被害に遭っても警察に通報・相談していない」と答えた人は271人。つまり、約9割の女性が「泣き寝入り」しているのだ。

 これだけ痴漢が横行してきたのは、痴漢を「迷惑行為」「魔が差したもの」「軽いいたずら」などと犯罪と見なさない社会の空気が、性被害は声をあげづらいという女性の立場につけ込む加害者を許してきた結果だ。

 事実、鉄道会社が貼り出している「痴漢は犯罪です」という、至極当たり前のことが書かれたポスターでさえ、「性暴力を許さない女の会」による粘り強い活動があって実現したものだった。そして、この会が発足したのは、1988年に大阪の地下鉄で、痴漢をはたらいていた男性2人組に対して注意をおこなった女性が、この男性たちに強かんされるという卑劣な事件が発生したことがきっかけだった。

 だが、女性たちが痴漢は女性の尊厳を傷つける問答無用の犯罪だと訴えても、痴漢は一向になくならない。2006年には特急車内で、男が「逃げると殺す」などと脅し、女性を車内トイレで強かんした事件が発生。このとき、ほかの乗客も異変に気づいていたというが、車掌に通報する者はいなかったという(この男はさらに別の日に、普通電車内や下車した駅構内のトイレで1日に2件の強かんを犯し、逮捕された)。

 こうした事件は「特異な例」などではなく、鉄道車内が性犯罪の温床であることを意味している。しかも近年は、ネット掲示板でメンバーを呼びかけて集団で痴漢をはたらく悪質なケースも増えており、最近でも2017年11月に30~40代の男4人が強制わいせつの疑いで逮捕されている。

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