自由民主党HPより
安倍政権の「働き方改革」なる政策の目玉とする裁量労働制の対象拡大を巡り、安倍首相らが答弁の根拠に上げてきた“データ”がデタラメだった問題。当初は「厚生労働省にそういうデータがあったのは事実」と強弁していた安倍首相だが、次から次へと数字の矛盾が発覚。とうとう一昨日の衆院予算委で安倍首相は「引き続き精査が必要なデータを基に行った私の答弁は撤回するとともにお詫びを申し上げたい」と述べた。
しかし、安倍首相はこのデータを根拠に「裁量制=定額働かせ放題法案」をもち出しているにもかかわらず、法案を撤回するそぶりはさらさら見せていない。しかも、安倍首相はデータを嘘と認めたわけではなく、「引き続き精査が必要なデータ」などと悪あがきを続けているのだ。
改めて言っておくが、安倍首相がもち出してきたデータは「引き続き精査が必要なデータ」というような代物でなく、あきらかなフェイク、しかも意図的に捏造された可能性が高いシロモノだ。
簡単に振り返っておくと、裁量労働制とは「みなし労働時間」で定額賃金を支払う制度のこと。つまり「1日の労働時間は8時間とみなす」と合意すれば何時間働こうが8時間分の賃金が支払われるというもので、ゆえに「定額働かせ放題法案」「残業代カット法案」と強く批判されてきた。
その批判をかわすために安倍首相らがもち出していたのが、問題のデータだった。安倍首相は1月29日の衆院予算委でも「厚生労働省の調査によれば、裁量労働制で働く方の労働時間の長さは、平均的な方で比べればですね、一般労働者よりも短いというデータもある」と嘯いていた。
このデータというのは、裁量労働制では「平均的な者」の1日あたりの労働時間が「9時間16分」で、「一般労働者」のそれが「9時間37分」というもの。政府側はこれを元に、裁量労働制では一般的な労働者より1日あたりの労働時間が約20分短いと主張したわけだ。
ところが、この厚生労働省の調査だという「一般労働者」の「9時間37分」というデータが完全に操作されたフェイクだったのだ。