コミュ力がない? クビにしたい一心で後付けで解雇理由を出してくる会社
訴訟のなかでZ社は、「ござる」をはじめとしてAさんにコミュニケーション力がないことを取り上げてきた。顧客でなく同僚に対するメールで「ござる」を語尾につけるのが、なぜコミュニケーション力がないことになるのか、なぜ「業務に支障が出る」のか全く分からない。嫌だったら、「『ござる』は付けないでください」と言えばいい。私なんて、同僚に対するメールで語尾に「~でやんす」とか普通に使う。もちろん「ござる」もだ。こんなのを解雇理由にすることに、ショックを受けた。むしろ、こんなので解雇するほうが、コミュニケーション力がない。実際、Z社の経営者は、Aさんに対してパワーハラスメントを行っており、Z社の経営陣のほうにコミュニケーション力がないことが明らかになった。
訴訟では尋問も行った。Z社はAさんを辞めさせたいという目的ばかりが先行して、解雇理由はその後付けに過ぎないことが浮き彫りとなった。私は、経営者に対する尋問の最後に「こんな解雇してはダメでござるよ!」と言っておこうと思ったが、裁判官が経営陣を十分にしかりつけたのでやめにした。
訴訟は和解で終わった。賃金減額も解雇も認められないことを前提に、未払い分の賃金全額に加えて、○年分の賃金を支払うという内容だった。やっぱり言わせて欲しい。こんな解雇してはダメでござるよ。
【関連条文】
賃金減額について 労働基準法24条 労働契約法8条
解雇について 労働契約法16条
(竹村和也/東京南部法律事務所 http://nanbu-law.gr.jp)
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■ブラック企業被害対策弁護団
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長時間労働、残業代不払い、パワハラなど違法行為で、労働者を苦しめるブラック企業。ブラック企業被害対策弁護団(通称ブラ弁)は、こうしたブラック企業による被害者を救済し、ブラック企業により働く者が遣い潰されることのない社会を目指し、ブラック企業の被害調査、対応策の研究、問題提起、被害者の法的権利実現に取り組んでいる。
この連載は、ブラック企業被害対策弁護団に所属する全国の弁護士が交代で執筆します。
最終更新:2018.07.03 11:07