★2ちゃんねる化賞
「北朝鮮の暗号解読、15日もミサイル発射」と2ちゃんねるのデマをそのまま報道した産経新聞
北朝鮮によるミサイル発射実験が繰り返されるなか、5月14日、産経新聞web版・産経ニュースが「北朝鮮のラジオ放送の暗号を2ちゃんねらーが解読? 「14日午前5時56分、発射予定時刻かな」が的中 「明日も発射ある?」ネット騒然」なる記事を配信した。
内容は、5月14日早朝のミサイル発射の半日前、匿名ネット掲示板「2ちゃんねる」に投稿された書き込みが、北朝鮮の暗号を解読して発射時間を事前に的中させていたとしたうえで、同じ投稿主が15日6時3分にもミサイル発射があるかもしれないとしたことを伝えたもの。つまり、2ちゃんねるの書き込みを丸呑みし、“明日もミサイル発射があるかもしれない”と報じたわけである。
が、もちろん15日にミサイル発射などなかった(そもそも“2ちゃんねるの書き込みが14日の発射を的中させた”ということ自体、全然「的中」ではなく、実際には暗号を解読してわかったとする時間は実際の発射時間から1時間も遅れていたのだが……)。
もはや、“釣り師に釣られた”とか、ネットリテラシーが低すぎるとか、そういうレベルではないだろう。仮にも全国紙が、2ちゃんのフェイク情報をソースにして、一切検証しないまま、ドヤ顔で「北朝鮮の暗号放送を解読」「明日もあるのか」などとほざいていたのだ。こんなのってアリなのか? いや、ナシである。
一応、本サイトでも念のため調べてみたが、産経が取り上げた2ちゃんねるの書き込みは、「東アジアニュース速報+板」のスレッドにあった。「東アジアニュース速報+板」といえば、韓国や北朝鮮、中国の話題をひたすら集めたうえで、ニュースとは名ばかりの偽情報と差別言辞が飛び交うネット右翼の温床。「デマだらけ」「便所の書き込み」と言われる2ちゃんねるのなかでも“肥溜め中の肥溜め”と呼ぶべきネトウヨ隔離用の板だ。
ちなみに、この2ちゃんフェイクニュースを配信した産経のWEB編集チームは、9月16日にも「金子勝・慶応大教授が「ミサイル発射は安倍首相のせい」 ツイッターに投稿」なるタイトルの記事を出していたが、実際には、金子教授は「ミサイル発射は安倍首相のせい」というツイートをしていなかった(現在はタイトルを修正)。ネトウヨ系まとめサイトも顔負け、おそるべしフェイクニュース機関である。
以上、前編ではまず4つの部門賞を紹介した。どれも悪辣さ全開でクラクラしてくるが、2017年のフェイクニュースはまだまだある。後編では、さらに4つの部門賞、そしてフェイクニュース大賞をお届けするので、ぜひ楽しみにしていただきたい。
(編集部)
最終更新:2018.01.03 12:23