首相官邸HPより
2017年も残すところあと数日となった師走。日本漢字能力検定協会の公募で決まる「今年の漢字」が「北」に決定したことは記憶に新しい。他方、23日付の毎日新聞と産経新聞に掲載されたこの短い記事を読んだ人は、どのくらいいただろう。
〈安倍晋三首相は22日、都内の会合であいさつし、今後の北朝鮮情勢に関連し「基本的には(来年2月に)平昌冬季五輪があるから、大丈夫だ。緊張状態はあるが、韓国に行く分には(安全面で)何の問題もない」との認識を示した〉 (産経新聞より)
ようするに、安倍首相は、北朝鮮情勢について、来年に韓国で平昌五輪が開催されるから「渡航は何の問題もない」、つまり当分の間は北朝鮮の攻撃はない、と明言したのである。
いや、ちょっと待ってほしい。なぜ、平昌五輪が開催されるからといっていきなり北朝鮮危機が問題なくなるのか。平壌五輪じゃなくて、平昌五輪だよ? 北朝鮮は五輪に参加するかどうかもいまだ不明なのに? いったいこの人は何を言っているのだろうか。
だいたい安倍政権は、北朝鮮のミサイル発射が繰り返された今年、「わが国を飛び越えるミサイル発射という暴挙はこれまでにない深刻かつ重大な脅威」などと、まるで明日にでも戦争が始まるかのごとく“北朝鮮危機”を煽りに煽ってきた。先の解散総選挙も、政治的空白を方々から指摘されながら、“大義ない解散”を「国難突破」などと言い張って強行したではないか。
それが、選挙が終わって国会が閉幕したとたん「問題ない」ときた。ようするに“北朝鮮危機”なるものは、安倍首相の都合でどうとでもなるらしい。まったく、唖然とするほかないだろう。
一応言っておくが、これは国際情勢の変化とか、水面下での交渉が奏功しているとか、そういう話では決してない。