能町みねこの連載コラムが掲載された「週刊文春」(12月14日号)
いまだに連日ワイドショーを賑わせ続けている日馬富士による暴行事件。こじれにこじれているこの騒動、日馬富士が引退しさらに書類送検されるなど、ひとつの節目を迎えるかに見えたが、いまだ収束の気配はない。現在の世論は、白鵬をはじめとするモンゴル人力士に差別感情を含んだバッシングを展開する一方、貴乃花親方に対しては「弟子を守るため相撲協会と孤軍奮闘する親方の鑑」と美談仕立てで英雄視するという風潮になっている。
そんななか、相撲通で知られるコラムニスト・能町みね子氏が非常に鋭い指摘をしている。「週刊文春」(12月14日号)の連載コラムで、貴乃花親方の危険な志向を批判し、貴ノ岩が軟禁されている可能性を示唆したのだ。
〈どうしても貴乃花親方をヒーロー視できない。貴ノ岩(殴られた被害者)を三週間も部屋から出さないのもまるで軟禁のようで、果たして彼を守るためなのかどうか。彼は部屋唯一の外国出身力士だけに、不安が募ります〉
能町氏のこの不安はけっして大袈裟な話ではない。貴ノ岩は旭鷲山との電話を最後に、肉声がまったく伝わってこない状況が続いているのだ。
貴乃花は「弟子を守る」と言っているが、本当に守りたければ、病状を公表し、適切な治療やリハビリを受けさせるはず。ところが、病状を一切公表せず、入院説もある一方で、17日のスポニチは「何らかの理由で病院にすら行けない可能性もある。」と報道している。貴ノ岩に本当の気持ちをしゃべらせないため、外部との接触を禁じているのではないか、そんな疑いが頭をもたげるのは当然だろう。